最新記事

フェイスブック

フェイスブックのザッカーバーグ、倫理観の欠如に社内外から批判噴出

Zuckerburg Backlash over Trump Post Continues as Moderators Criticize CEO

2020年6月9日(火)19時46分
ジェイソン・マードック

四面楚歌のザッカーバーグ Erin Scott- REUTERS

<ツイッター社が暴力賛美にあたると警告したトランプの問題投稿「略奪が始まれば銃撃も始まる」に対し「中立」の立場を堅持していたザッカーバーグだが>

白人警察官が黒人男性の首を抑えて死なせた事件に関するドナルド・トランプ米大統領の投稿をめぐり、フェイスブック社が揺れている。暴力を奨励するかのようなトランプの投稿を「中立」の立場からそのまま放置しているマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)を、現役と元の投稿監視担当者が厳しく批判した。

6月8日にオンラインで発表された公開書簡で彼らは、5月25日にミネアポリスで白人警官に拘束された黒人男性ジョージ・フロイドが死亡したことに抗議しているデモ隊への連帯を表明した。フロイドを死亡させた元警察官のデレク・ショービンは第二級殺人、第三級殺人と過失致死の罪に問われている。

トランプは5月29日、ミネアポリスで起きた抗議デモについて、「略奪が始まれば銃撃も始まる」と、デモ隊に対する発砲を促すようなメッセージを投稿。一方でツイッター社がこの投稿に「暴力を賛美する内容」だと警告をかぶせ、クリックしなければ表示されないようにしたのに対し、フェイスブックは削除も警告表示も行わずに放置。多くの従業員がこの判断に抗議するツイートを投稿した。辞職者も出た。

「違反にはあたらない」と説明

6月1日には、トランプの投稿に対策を講じない会社の判断に反対する従業員たちが、パソコンにログインしない「オンラインスト」を決行。今回公開書簡を発表した投稿監視担当者たちもこれを支持した。

英ガーディアン紙が最初に内容を報じたこの公開書簡の中で彼らは、「いま起こっている事態は、私たちが『声なき監視役』でいるのは許されないことを証明している」と書いている。「フェイスブックの画面がヘイトスピーチで溢れている時に、黙って見ていてはならない。警察官が黒人に暴力を振るい、痛めつける動画のライブ配信をいくつも目の当たりにしながら、それを放置してはならないのだ」

ザッカーバーグは2日に従業員と行ったビデオ会議の中で、トランプの問題の投稿を見直したが、暴力を煽る投稿を禁止する内規に違反しているとは判断されなかったと述べた。個人的には大統領の言葉に「生理的な嫌悪感」を感じたものの、フェイスブックとしてはできる限り表現の自由を確保するための努力もすべきだと主張した。

<参考記事> target="_blank">ツイッター、トランプの投稿に再び注意喚起 ミネソタ州デモに関するツイートに
<参考記事>トランプの投稿に警告表示を付けたツイッターをフェイスブックも支持?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、ミシュスチン氏を首相に再任命 下院

ビジネス

中国自動車輸出、4月は過去最高 国内販売は減少に減

ワールド

UNRWA本部、イスラエル住民の放火で閉鎖 事務局

ワールド

Xは豪州の法律無視できず、刃物事件動画訴訟で規制当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 9

    「一番マシ」な政党だったはずが...一党長期政権支配…

  • 10

    「妻の行動で国民に心配かけたことを謝罪」 韓国ユン…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中