最新記事

イラン

イラン・ハメネイ師、米軍の撤収要求「中東は米国の存在を容認しない」

2020年1月8日(水)18時28分

イランの最高指導者ハメネイ師は8日、イラクに駐留する米軍に向けて実施したミサイル攻撃は米国への「平手打ち」だとし、米国は中東から軍を撤収すべきと主張した。提供写真(2017年 ロイター/Handout via REUTERS)

イランの最高指導者ハメネイ師は8日、イラクに駐留する米軍に向けて実施したミサイル攻撃は米国への「平手打ち」だとし、米国は中東から軍を撤収すべきと主張した。

イランは8日未明、米軍が駐留するイラクのアル・アサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。この数時間前には、米軍の空爆によって殺害されたソレイマニ司令官の葬儀が行われ、軍や政府の高官が米国への報復を誓っていた。

ハメネイ師は演説で「今回のような軍事行動は十分でない。重要なのは、この地域における米国の不健全な存在を終わらせることだ」と述べ、ミサイル攻撃を米政府への「平手打ち」と表現した。

「この地域は米国の存在を容認することはない」とし、米軍の撤収をあらためて要求した。

2015年のイラン核合意を巡る米国との交渉再開の可能性も否定。「話し合いや、腰を据えた交渉は、(米国の)介入の始まり」と述べた。

ハメネイ師はさらに、米国はイスラエル支援のために、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを排除しようとしていると主張した。

国内メディアによると、ロウハニ大統領は、米国はイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の「腕を切り落とした」かもしれないが、イランは報復として中東地域の米国の「足」を切り落とすと述べた。

ザリフ外相は、ミサイル攻撃は「正当な自衛」措置だと主張。「米政府はこれを、勘違いに基づき評価しないようすべきだ」と述べた。

また、イランのハタミ国防相は国営テレビに対し、イランによるイラクの米軍基地へのミサイル攻撃に米国が報復すればそれに見合った対応をとると表明した。

同相は、ソレイマニ司令官殺害を受けた今回の米軍基地攻撃について「われわれは短距離ミサイルを使用した。これがアメリカにとって忘れられない教訓となることを望む」と発言。「(米国の報復に対する)イランの反応は米国のやることに釣り合うものになるだろう」としたほか、「(トランプ米大統領は自らの)政権をテロリストの政府に変えてしまった」と付け加えた。

*内容を追加しました。

[ドバイ 8日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、新たな対ロシア制裁発表 中国企業を狙い撃ち

ビジネス

米地銀NYCB、向こう2年の利益見通しが予想大幅に

ビジネス

FRBの政策金利決定、大統領選の影響受けない=パウ

ビジネス

ドル一時153円まで4円超下落、介入観測広がる 日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中