最新記事

事件

「耐火レンガ在中」コンテナにあったのはポルシェ、フェラーリ等スーパーカー 船便密輸も続くインドネシア

2019年12月19日(木)19時00分
大塚智彦(PanAsiaNews)

耐火レンガと申告されたコンテナの中身はポルシェなどのスーパーカーだった KOMPASTV / YouTube

<ナショナルフラッグのCEOが、就航させたエアバス新型機で密輸をした事件に続き、船便でも密輸が次々と摘発されている>

インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は12月17日、会社ぐるみで海外から高級外車やバイクを密輸して税金を不正に逃れようとしていた企業7社の不正事案を発表した。

インドネシアでは国営ガルーダ航空(GA)の社長兼最高経営責任者(CEO)が新型機の初号機デリバリーフライトでフランスからハーレーダビットソン大型中古バイクや英国製高級折り畳み式自転車などを密輸したとして解任された。事件に関与したGA取締役らも職務停止処分になるなど一部富裕層による驕奢品の税金逃れを目的にした密輸事件が大きなニュースとなったばかりであり、国民の怒りは拡大している。

スリ・ムルヤニ財務相によると、9月26日にシンガポールからジャカルタ北部のタンジュン・プリオク港に到着したS.L.K社のコンテナの中にあったドイツ製高級車ポルシェGT3RSとイタリア製高級車アルファロメオの2台とBMWのバイクを申告のない不正輸入の疑いで摘発、押収した。

税関申告書には積み荷は「耐火レンガ」としか記載されていなかったという。

このときの密輸品の合計価格は約30億ルピア(約2300万円)となり税金逃れで税関当局に与えた損害は68億ルピア(約5300万円)にも上るという。

インドネシアでは輸入関税40%に加え、高額の商品には125%の驕奢税がかかることから今回のような高額な課税になるとスリ・ムルヤニ財務相は説明した。

スリ・ムルヤニ財務相の会見には、密輸摘発に対する当局のなみなみならぬ決意を示すかのようにブルハヌディン検事総長、イドハム・アジズ国家警察長官も同席。過去4年間で高級車19台、バイク35台、車やバイクのスペアパーツなどを密輸品として摘発・押収したことが明かされた。これはタンジュン・プリオク港だけの実績で、他の主要港は含まれていないという。

スリ・ムルヤニ財務相はこうした高級車、バイクの密輸に関わったインドネシア企業7社を公表したが、S.L.KやY.H.Iなど会社のイニシャルだけしか発表しておらず、国民からは不正を働いた会社を擁護しているのかなどと不満の声が上がる事態になっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シンガポール航空機、乱気流で緊急着陸 乗客1人死亡

ビジネス

アストラゼネカ、30年までに売上高800億ドル 2

ビジネス

正のインフレ率での賃金・物価上昇、政策余地広がる=

ビジネス

IMF、英国の総選挙前減税に警鐘 成長予想は引き上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中