最新記事

ライフスタイル

初婚男女の年齢ゾーン別組み合わせランキング──40代以上の結婚希望はなぜ叶いにくいのか

2019年12月11日(水)11時30分
天野馨南子(ニッセイ基礎研究所)

晩婚化とはいっても、40代で初婚をめざすのは男女ともかなり厳しい portokalis-iStock

<晩婚化しているとは言われるものの、2017年の統計では男女ともに20代から30代同士で成婚するのが多数派という結果に>

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2019年12月2日付)からの転載です。

団塊ジュニアである筆者が生まれた手前頃である1970年の国の統計では、1年間の婚姻数が103万件であった。それに対し、公開されている最新の2017年の統計では61万件に減少し、半世紀も経過せずに59%にまで件数が減少している。

昭和の終わりから平成期の日本は、まさに「婚姻数大暴落」の時代であった、ということができるだろう。

Nissei191210_1.jpg

ただ単に件数(量)が減少しただけではなく、その内容(質)も大きく変化した。

1970年には初婚同士の結婚が89%を占め、再婚者を含む結婚(再婚者同士+どちらかが再婚)は10組に1組程度であった。それが2017年には初婚同士の結婚が全体の73%へと減少し、再婚者を含む結婚が27%、4組に1組を超え、3割近くまで上昇してきている。

その他にも、初婚同士の結婚において、男性年上婚の割合が全体の55%まで減少する一方、女性年上婚が4組に1組まで増加し、夫婦同年齢婚を件数で上回るなど、質的変化を挙げればきりがない。

今回はそのような大きな結婚の「質の変化」にともない、結婚を希望して活動する男女の意識と結婚の現実との間に最も歪(ひずみ)が表れていると考えられる「夫婦の年齢の組み合わせ」について特集してみたい。

初婚同士の結婚は、20代後半同士男女の組み合わせが圧倒的

本稿では初婚を目指して活動する男女(ならびにその親族、支援者)が特にデータ活用することを目的として、初婚男女の結婚についてのデータを取り扱う。

婚姻届を提出するといっても、様々なケースがある。そのため、国の統計で把握可能な「2017年に婚姻届を役所に提出」かつ「同じ2017年以内に結婚生活を開始」した、35万8773件の初婚男女について、夫婦の成婚時の年齢の組み合わせを見ていくこととしたい。

Nissei191210_2.jpg

まず、最も多かった組み合わせは「20代後半男女同士」の結婚であり、全体の約3割を占める圧倒的な割合となった。

2位の「30代前半同士」と、3位の「20代後半女性と30代前半男性」の組み合わせはほぼ同率の1割であるが、この2位、3位の件数を圧倒する件数(2位の2.4倍、2位3位の件数合計を上回る)となっている(図表2)。

このことから、晩婚化とは言うものの、

(1) 日本におけるもっとも成立しやすい初婚カップル(以下、カップルと略)は、男女ともに「20代後半」である

と断じることが出来る。

さらに、上位5位までの組み合わせで、すでに全体の成婚の上位65%を占めており、そのうち、20代が占める割合は女性83%、男性67%であるため、男女差はあるものの、男女ともに20代の成婚が30代の成婚を大きく上回ることが見て取れる。つまり、

(2) 平均初婚年齢のイメージからアラサー結婚を考える男女が少なくないが、アラサーといっても30代前半よりは20代後半の結婚が「男女とも」大きく上回る

ということを注意したいところである。

さらに上位10位までの組み合わせでみると、全体の83%の成婚を含むことになるが、その中に男女とも40代の成婚は含まれていない(図表2)。

つまり、40代からの結婚は男女とも発生しやすい組み合わせで見て上位83%に入ってきていない。このことから、

(3) 40代で初婚を目指す活動は、「男女とも」発生確率的に見て上位83%に入らないため、そう簡単ではない

ということが指摘できる。

筆者は、全国の様々な自治体の結婚支援センターや民間の結婚相談所、結婚応援を行なうNPOなどの相談を受ける機会があるが、特にこの(3)については、女性よりも男性において圧倒的に理解が進んでいないことが問題となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 5

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    アメリカでなぜか人気急上昇中のメーガン妃...「ネト…

  • 8

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 9

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中