最新記事

夏時間

「夏時間は脳に悪影響を及ぼす」、研究者が警鐘

2019年11月15日(金)16時50分
松丸さとみ

VUMCの発表文によると、体内時計の柔軟性は人によって異なり、中にはすぐに順応できる人もいるという。しかしマーロウ教授は、子どもや自閉症の人にとっては、サマータイムからの影響が何週間、何カ月も続く可能性もあると指摘する。

なお、米国では州単位でサマータイムの採用状況が異なる。USAトゥデイによると、アリゾナ州(ナバホ・ネイションを除く)とハワイ州、米領サモア、グアム、プエルトリコ、バージン諸島は、サマータイムを導入していない。7州(アラバマ、アーカンソー、フロリダ、ネバダ、オレゴン、テネシー、ワシントン)は、夏時間を標準時間とする案が可決されているが、これを実際に施行するには、連邦政府からの承認を得る必要がある。

欧州では84%が夏時間廃止を支持

一方欧州では、欧州連合(EU)加盟国すべてが、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日までの期間、時計を1時間進めてサマータイムとすることが定められている。しかしこうした全加盟国による一律でのサマータイムは、廃止の方向で話が進められている。

欧州議会で今年3月、2021年に廃止することが可決されており、今後は、各国の代表と話し合って最終的に決定が下されることになる。

欧州委員会がサマータイムの廃止を提案したのは、当時(2018年9月)の欧州委員会の発表文によると、次のような理由からだ。もともとサマータイムが開始されたのは、戦時中やオイルショックの時代に、エネルギーの節約が目的だった。しかし2018年現在、サマータイムにより節約できるエネルギーはわずかだと研究で分かってきたこと、逆に健康被害を訴える市民が増加していることなどから、サマータイムはもはや適切なものではなくなった、と判断したためだ。

欧州委員会が2018年夏に一般の人に広く意見を募ったところ、同委員会が行った公開の意見募集で過去最多という460万件の回答が寄せられた。うち84%がサマータイムの廃止を支持する内容だったという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

サウジアラムコ、第1四半期は減益 配当は310億ド

ビジネス

再送任天堂、今期中にスイッチ後継機種を発表へ 営業

ワールド

英軍関係者の個人情報に不正アクセス、中国が関与=ス

ビジネス

植田日銀総裁が岸田首相と会談、円安「注視していくこ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中