最新記事

通貨

マネーの主役は貨幣から人間へ──「マネー3.0」の時代

How to (Re) Make Money

2019年8月14日(水)16時00分
ガリア・ベナッツィ(分散型仮想通貨取引所バンコール共同創設者)

しかしブレトンウッズ会議から75年がたった今、私たちは新しい通貨の時代に突入しつつある。インターネットやブロックチェーンといった新しい技術により、デジタル資産つまり仮想通貨を「印刷」して流通させる新しいグローバルなスケールの方法が登場したのだ。

これらの仮想通貨は、ブロックチェーンという書き換え不可能な記録をベースにすることで、その正当性を幅広く証明することができる。つまり、あらゆる通貨が必要とする信用のネットワークを構築するパワーを持っている。

これがマネー3.0だ。それは人々がお金を生み出す時代だ。

人々って誰かって? それはビットコインやイーサリアムを作った人々。フェイスブックを作り、来年にはリブラという独自の仮想通貨を作ろうとしている人々。現在取引されている無数の仮想通貨を作った人々だ。

こうした仮想通貨の多くは、商品やサービスと引き換えに、他人に譲り渡すことができるという意味で、カネのように機能する。そしてこれらの通貨は今、オープンソースで作られ、グローバルに流通している。これまではあり得なかったことだ。

カネが人間に奉仕する時

確かに、こうした通貨の多くは信用のネットワーク効果を生み出すことができず、いずれ消えていくだろう。だが、いくつかは生き残る。それはフェイスブックと競合する通貨かもしれないし、都市が発行する通貨かもしれない。あなたが知っている人や、ソーシャルメディアでフォローする人が作る通貨かもしれない。結局のところ、カネは人と人との信用システムだ。

デジタルネットワークの進歩によって、私たちはこれまで以上に、お互いを結び付けるコミュニケーションを作り、監視し、アップグレードできるようになった。それは知らない人や、国家による価値の裏付けのない通貨を信用することを可能にする。

新しい通貨は、ソフトウエアのようにプログラム可能であり、さまざまな目的に合わせて設計することができる。例えば、取引のたびに税金を支払ったり、買い物をするたびに代金の一部を環境保護活動に募金したりする仕組みを作ることができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、利下げ「近づく」と総裁 物価安定の進展

ワールド

トランプ氏、コロンビア大のデモ隊強制排除でNY市警

ビジネス

米イーベイ、第2四半期売上高見通しが予想下回る 主

ビジネス

米連邦通信委、ファーウェイなどの無線機器認証関与を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中