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イラン核合意

核合意「違反」論争でイランの言い分が正しい理由

Iran Is Right

2019年7月18日(木)11時20分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

一方、イラン側は、核合意に違反することで、ヨーロッパ諸国に揺さぶりをかけ、アメリカと決別して新たな合意を結ぶよう促せると考えているようだ。だがこれは、世界経済におけるドルの支配力を理解していないイランの見込み違いだ。

アメリカの未来学者で軍事理論家のハーマン・カーンはかつて、ある種の危機をチキンレース(度胸比べ)になぞらえた。2台の車が直線上をお互いに向かって疾走する。より無謀な運転手がハンドルを窓から投げて見せると、もう一方の、より責任感のある運転手は衝突を避けるためにハンドルを切る――。

だが、もしどちらの運転手も同じくらい無謀かつ頑固で、この度胸比べから手を引くことを拒否したらどうなるのか。あるいは、もし1人がハンドルを窓から放り投げたことをもう1人が見落としたり、その影響を理解しなかったらどうなるのか。

無謀な度胸比べの影響は、その運転手と車だけにとどまらない。10日には、ホルムズ海峡でイランがイギリスのタンカーを拿捕しようとしていたことが明らかになり、原油価格が急騰する局面があった。

誰かがこの対立に割って入り、危険な度胸比べをやめさせなくてはいけない。

©2019 The Slate Group

<本誌2019年7月23日号掲載>

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