最新記事

移民

米移民収容施設でまた子供が死亡、今度は8歳男児

Another Migrant Child Dies in Border Patrol Custody

2018年12月26日(水)16時26分
ニコール・グッドカインド

メキシコとの国境の町テキサス州エルパソにやってきた不法移民と子供たち(2018年12月25日) Jose Luis Gonzalez-REUTERS

<今月初めに亡くなった7歳女児と同じく、拘束されてすぐの死。いったい何が起こっているのか>

米税関・国境取締局(CBP)は、拘束していた8歳のグアテマラ人の少年が12月25日に死亡したことを認めた。

少年は、クリスマスにあたる12月25日の真夜中すぎに、ニューメキシコ州アラモゴードにあるジェラルド・チャンピオン地域医療センターで死亡した。少年は、父親とともにCBPに拘束されていた。

米国土安全保障省(DHS)の公式声明によれば、米国境警備隊の隊員が24日に不調に気づき、少年を父親とともに近くの病院に搬送したという。

テキサス州選出の下院議員ホアキン・カストロは声明のなかで、この少年の名をフェリペ・アロンゾ・ゴメスと明かし、「これまで何人の子どもがCBPの拘束下で死亡したのかを含め、多くの疑問がまだ答えられていない」と述べた。

CBPによれば、少年は当初、風邪と診断されたが、その後急に高熱が出たという。抗生物質のアモキシリンと解熱剤のイブプロフェンを処方され、24日午後に病院から施設に戻った。死亡したのは、そのすぐあとだ。

正式な死因は、まだ明らかになっていない。CBPによれば、現在は公式な調査を実施している最中であり、さらなる情報があれば、入り次第公表するという。

独房に入れられていた?

グアテマラの外相によれば、少年と父親は先週テキサス州エルパソでアメリカに入国した。AP通信によれば、その後23日に約160キロほど離れたニューメキシコ州アラモゴードにある国境警備隊の施設まで移動させられたという。

CBPの関係者がワシントン・ポスト紙に語ったところによると、父親と少年は、収容所が過密状態であることから、ラス・クルーセスとアラモゴードの間にある検問所の狭い独房に入っていたという。検問所で拘束されている子どもは、屋外に出ることを許されていない。

CBPの拘束下にある子どもが死亡したのは、12月に入ってからこれで2人目だ。7日には、ジャクリン・カールという7歳のグアテマラ人少女が、父親とともに拘束された数時間後に死亡している。

グアテマラ政府は少年の死亡に関する通知を受けており、「現在、父親やグアテマラにいる親族と連絡をとっている」とCBPは述べている。国土安全保障省(DHS)の監察総監室と、しかるべき議員にも連絡したという。

DHSは25日のリリースで、「不法に、もしくは許可なく米国国境に達した、同伴者のいない子どもや家族の数は、依然として大きく増加している」と書いている。「そうした人々は、既存の法に従い退去させるか入国させるかを審理するあいだ、連邦政府施設に留め置かれる。拘留中は、医療検診を行い、必要があれば治療も施す」

(翻訳:ガリレオ)

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=上昇、ナスダック最高値 CPIに注目

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、PPIはインフレ高止まりを

ビジネス

米アマゾンの稼ぎ頭AWSトップが退任へ

ビジネス

ソニー、米パラマウント買収を「再考」か=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 7

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中