最新記事

中間選挙

米史上最年少の女性下院議員の公約は、皆保険と移民に優しい社会

Five Things About Alexandria Ocasio-Cortez

2018年11月8日(木)16時04分
ジェシカ・クォン

オカシオコルテスは1年前までバーテンダーをしていた Andrew Kelly-REUTERS

<女性候補が躍進した米中間選挙で、史上最年少の下院女性議員が誕生することになったが、夢のような公約は果たしてかなうのか>

11月6日に行われた米中間選挙の連邦下院選(ニューヨーク州14区)で、米民主党候補アレクサンドリア・オカシオコルテス(29)が米共和党候補のアンソニー・パッパスを破った。史上最年少の下院女性議員が誕生する歴史的な勝利だ。

彼女はニューヨークのブロンクス地区で、労働者階級の両親のもとに生まれた。母親は自治領プエルトリコ出身。父親はブロンクス南部で零細企業を営んでいたが2008年に肺がんで亡くなった。彼女は米ボストン大学に在学中、民主党上院議員で2009年に死去したテッド・ケネディの下で移民問題に取り組み、卒業後は教育分野やコミュニティ・オーガナイザー(社会福祉活動家)として活動。下院選には民主社会主義者として初出馬した。

彼女について知っておくべきことは以下5つ。

民主党予備選で歴史的勝利

1年前まで家族で食べていくためにバーテンダーをしていた彼女は、6月の民主党予備選で現職の大物下院議員、ジョー・クローリーを破った。2014年6月の下院選の予備選(バージニア州7区)で、大学教授のデーブ・ブラットが共和党院内総務のエリック・カンターを破って以来の大番狂わせだった。

オカシオコルテスの大金星は、その後の政治に大きな影響を与えた。当時下院民主党ナンバー4だったクローリーは、中間選挙で民主党が勝てば、ナンシー・ペロシ下院院内総務の後釜になると見られていたからだ。

史上最年少の下院女性議員

オカシオコルテスは29歳で、米史上最年少の下院女性議員になった。これまでの記録は、2015年にニューヨーク州で選出された共和党のエリス・ステファニク議員の30歳だった。

「全国民に医療保険を」

彼女が選挙戦で重点的に訴えた政策の1つは「全国民に医療保険を」。2016年大統領選の予備選で旋風を引き起こしたバーニー・サンダース上院議員を含む民主党進歩派(プログレッシブ)は、年間費用が30兆ドル以上になるという試算が出ても、その実現を訴えてきた。カナダやイギリス、フランスにもそうした医療保険制度がある、と彼女は主張した。

「全国民が公的医療保険に加入すれば、国民全体で大幅な節約になる。単なる絵空事ではない」と、彼女は9月に米CNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」に出演した際に言った。「医療保険予算の拡大がより良い未来をもたらすことを、私たちは自覚する必要がある。次世代への投資だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替円安、行き過ぎた動きには「ならすこと必要」=鈴

ワールド

中国、月の裏側へ無人探査機 土壌など回収へ世界初の

ビジネス

ドル152円割れ、4月の米雇用統計が市場予想下回る

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 5

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 6

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    映画『オッペンハイマー』考察:核をもたらしたのち…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中