最新記事

歴史問題

韓国最高裁、元徴用工訴訟で三菱重工にも賠償命じる

2018年11月29日(木)13時15分

11月29日、韓国最高裁は、第2次世界大戦中に強制労働させられた韓国人の元徴用工28人への賠償支払いを三菱重工業に命じる判断を示した。写真はソウルの最高裁前で撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)

韓国最高裁は29日、第2次世界大戦中に強制労働させられた韓国人の元徴用工28人への賠償支払いを三菱重工業に命じる判断を示した。

最高裁は10月、新日鉄住金にも元徴用工らへの賠償を命じる判決を出している。

最高裁は今回、原告23人に1人当たり8000万ウォン(7万1000ドル)の賠償を支払うよう三菱重工に命じた2013年の高裁判決を支持した。また、これとは別に5人の原告や遺族にそれぞれ最大1億5000万ウォンの支払いを命じた。

河野太郎外相は判決について、極めて遺憾で断じて受け入れることはできないとする声明を発表。日韓の友好協力関係の法的基盤を根本的に覆すものだと指摘した。また、日本企業にとって公平な経済活動を確保する措置を講じるよう韓国政府に促し、韓国側が対応をとらなければ日本政府として国際裁判を含め選択肢を検討する考えを示した。

韓国外務省の高官は、政府として最高裁の判決を尊重するとした上で、被害者の傷を癒すと同時に日本との将来の関係を醸成する対応をとると表明した。

5人の元徴用工は過去に日本で訴訟を起こしたが、1965年の日韓請求権協定で請求権がなくなったとして退けられた。

韓国最高裁は今回、「日本の不法な植民地支配や朝鮮半島に対する攻撃に直接関連して日本企業が犯した人道犯罪への賠償を求める強制動員被害者の請求権は日韓請求権協定の適用対象外」と判断した。

*内容を追加しました。

[ソウル 29日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


韓国最高裁が三菱重工業に元徴用工28人への賠償支払いを命じた判決を出したことを伝える現地メディア YTN News / YouTube

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル157円台へ上昇、34年ぶり高値=外為市場

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中