最新記事

米中間選挙

中西部でトランプ人気が低下、共和党も見放された──世論調査

Trump And Republicans Are Losing the Midwest.

2018年9月13日(木)14時00分
ジェシカ・クウォン

トランプは、共和党候補の応援のため精力的に遊説を行っているが Kevin Lamarque-REUTERS

<貿易戦争のあおりをくらった地域ではトランプに失望、トランプの応援だけが頼りの共和党候補も見透かされている>

11月6日の米中間選挙まで2カ月を切った今、上下院での多数議席維持を目指す共和党に厳しい逆風が吹き荒れている。中西部でドナルド・トランプ大統領の支持率が低下、それに伴ってこの地域の共和党候補も苦戦を強いられているのだ。

9月12日に発表された公共ラジオNPRとマリスト大学世論調査研究所による調査結果では、有権者登録をした全米の回答者の39%がトランプ大統領を支持していた。この数字は7月の調査結果と同じだが、中西部は例外だ。7月には40%だった大統領の支持率が今回は38%に低下。一方、7月には50%だった不支持率は55%まで上昇した。

共和党の支持率低下はさらに深刻だ。今回の調査では、中間選挙で共和党候補に投票すると答えた人は全米の有権者の38%。民主党候補を支持する人は50%に上った。7月の調査では、それぞれ40%、47%だったから、わずか2カ月で7ポイントから12ポイントまで差が広がったことになる。これだけ大きな差がついたのは、民主党が共和党を13ポイントもリードした2017年12月以来のことだ。

大きな要因として、中西部の有権者の共和党離れがある。中西部では、7月には共和党支持が42%、民主党支持が43%とほぼ拮抗していたが、今回は共和党の支持率が37%まで落ち込み、民主党なんと51%まで支持を伸ばした。

トランプに反対できない共和党

「さまざまな角度からデータを分析すると、総じて同じパターンが浮かび上がる。中西部の人々は自分たちの期待が裏切られ、状況が悪くなるのではないかと不安に思っている」と、マリスト大学世論調査研究所のリー・ミリンゴフ所長はNPRに語った。

「中間選挙では、大統領の支持率が低いと、政権与党が大敗を喫するのが常だ。(トランプの不人気が)共和党の頭上に暗雲のように垂れ込めている」

中西部におけるトランプ、そして共和党の支持率低下はかなりの部分、トランプの政策がこの地域におよぼす影響によるものだ。トランプは通商交渉を有利に運ぶため、中国などに貿易戦争を仕掛けている。相手国は米製品に報復関税を課すことでこれに対抗、中西部の農家や一部の自動車メーカーなどが大きな痛手を被っている。

「共和党は大統領に異を唱えようとしないばかりか、中間選挙に向けて大統領の応援に頼っている。トランプ・ブランドにしがみつく共和党は今や大統領と一体化しており、有権者はそれをはっきり見てとっている」と、ミリンゴフは指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ナスダック最高値、エヌビディア決算控

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、FRB当局者は利下げに慎

ワールド

米、ウクライナ軍事訓練員派遣の予定ない=軍制服組ト

ワールド

ICC、ネタニヤフ氏とハマス幹部の逮捕状請求 米な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中