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米朝関係

シンガポール米朝首脳会談の夢から覚めて

The Singapore Honeymoon Is Over

2018年7月20日(金)17時40分
ダニエル・ラッセル(オバマ政権時代の元米国務次官補)

最初は戦争に、その後は唐突に北との対話へとジグザグに歩を進めて同盟諸国の不意を突くことで、トランプはアメリカへの信頼を揺るがし、ルールのない自由参加の競争を開始した。

金はこの状況を利用して韓国、中国、ロシア政府と個別に取引を行っており、これらの国々がアメリカに対し要求の軟化とさらなる譲歩を強く求めている。

外交プロセスで置き去りにされ、トランプの在韓米軍撤退発言に衝撃を受けた日本は、アメリカの核の傘なしにどうやって北朝鮮の核搭載ミサイルから身を守るかを考え始めている。マティスとポンペオは、最近の日韓との会談をはじめ、同盟諸国を安心させようと苦心しているが、トランプの行動に照らすとどれもむなしく聞こえる。

北朝鮮がポンペオを「ギャングのような発想の要求」をしていると批判したことを受けて韓国大統領の報道官が述べたように、千里の道も一歩から始まるのは確かだ。だが北朝鮮の核の脅威は地雷原であり、トランプ政権がさらなる「踏み間違い」を回避することができなければ、その旅が成功することはないだろう。

From Foreign Policy Magazine

本誌2018年7月24日号掲載

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