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ロシア疑惑

トランプ支持派と反対派の双方を、ロシアはなぜ支援した?

2018年2月22日(木)15時10分
ジョシュア・キーティング

18年3月の大統領選には、テレビ司会者のクセニア・サプチャクが出馬する。プーチンに対するリベラル派の対抗馬を自称するが、反体制派はそれを信じていない。野党指導者アレクセイ・ナワリヌイの支持層を割るための立候補だとみられているのだ(ロシア中央選管はナワリヌイの立候補申請を却下)。

このような手法で国を治めることには、政治を不安定化させるリスクが付いて回る。管理に失敗すれば、フェイクの野党がリアルな野党に変貌しかねない。それに、国民が失望して政治への関心を失えば、体制の正当性が揺らぐかもしれない。

しかし、この手法により他国の政治を不安定化させるのは、難しくない。人種や宗教、階級など、社会の亀裂を見つけ、それを最大限押し広げればいい。実際、ロシア政府はアメリカで、右翼と左翼、白人優越主義団体と黒人の権利運動、そしてトランプ支持派と反対派の両方を支援していたようだ。

アメリカの政治を不安定化させるというロシア政府の狙いは、成功したように見える。見事な成果ではあるが、アメリカ社会の分断をあおるのはいとも簡単だっただろう。

本誌2018年2月27日号[最新号]掲載

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