最新記事

農業

中国対アメリカの農業大戦争が始まった

2018年1月13日(土)14時00分
フラン・タウンゼント(元米大統領補佐官)

世界の7%の農地で勝負しなくてはならない中国には優れた技術が必要(新疆ウイグル自治区) CDIC-REUTERS

<外国企業を買収して農業大国の座を目指す中国。対抗策を取らなければ農業部門の知的財産を握られる>

これまでアメリカは、世界最大の穀倉地帯だった。広大で肥沃な農地と最先端の農業技術によって、世界中に食料を提供してきた。

だが農業におけるアメリカの主導的な地位が、いま重大な試練に直面している。中国が農業部門の活性化を目指し、積極的な取り組みを行っているためだ。

世界の総人口は、50年までに100億人近くに達する見込み。それに伴い、食料生産量を70%増やす必要がある。農業が世界経済に占める地位は、ますます大きくなる。米農業界は中国の挑戦に対抗するため、競争力を維持しなくてはならない。

中国の指導層は農業の近代化を、最優先課題の1つに掲げている。中国共産党が重要な政策課題を記す新年最初の文書「1号文件」は14年連続で、農業を重点的に取り上げた。

中国は人口では世界の19%を占めているが、農地ではわずか7%だ。国内の食料需要を満たし、国際市場でアメリカに対抗するには、農業生産の質と量を改善する必要がある。

この目標を達成するには、高度な農業技術が必要だ。技術開発能力で後れを取る中国は、外国で積極的な投資を進めている。農業生産技術に関する知的財産を入手するために、過去10年間で1000億ドル近くを投じた。

昨年には国有化学大手の中国化工集団が、スイスの農業大手シンジェンタを430億ドルで買収。過去最大規模の外国企業買収となったこの一件は、農業大国を目指す中国の本気度を示している。

バイオテクノロジー大手6社(ビッグ6)の1社であるシンジェンタを買収したことで、中国は農業関連分野で世界の知的財産のかなりの部分を手に入れただけでなく、欧米に対抗するという国家的使命を追求する強大な企業も抱えることになった。

欧米の農業大手各社は、中国の全面的支援を得ている競合企業に対抗する準備をしておくべきだろう。そうしないと中国が欧米企業を次々と買収し、重要な知的財産を握ることになりかねない。

MAGAZINE

特集:世界はこう見る日韓不信

2019-1・29号(1/22発売)

徴用工判決にレーダー照射......中国が台頭する東アジアで終わりなき争いを続ける日本と韓国への「処方箋」

人気ランキング

  • 1

    小説『ロリータ』のモデルとなった、実在した少女の悲劇

  • 2

    エロチックなR&Bの女神が降臨 ドーン・リチャードの新譜は...

  • 3

    「世界中が怒りを感じている」上位26人が下位38億人分の富を保有。富裕層があと0.5%でも多く税金を払えば、貧困問題は解決するのに

  • 4

    台湾のビキニ・ハイカー、山で凍死

  • 5

    偶然ではない、日韓は「構造的不仲」の時代へ

  • 6

    ネイティブが話す「本物」の英語は世界の職場で通じ…

  • 7

    タイ洞窟からの救出時、少年たちは薬で眠らされ、両…

  • 8

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、…

  • 9

    現代だからこそ! 5歳で迷子になった女性が13年経て…

  • 10

    体重600キロ、体長4.4mの巨大ワニが女性殺害 イン…

  • 1

    小説『ロリータ』のモデルとなった、実在した少女の悲劇

  • 2

    エロチックなR&Bの女神が降臨 ドーン・リチャードの新譜は...

  • 3

    体重600キロ、体長4.4mの巨大ワニが女性殺害 インドネシア、違法飼育の容疑で日本人を捜索

  • 4

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、…

  • 5

    タイ洞窟からの救出時、少年たちは薬で眠らされ、両…

  • 6

    北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」という…

  • 7

    「世界中が怒りを感じている」上位26人が下位38億人…

  • 8

    人の頭を持つ男、指がなく血の付いた手、三輪車に乗…

  • 9

    台湾のビキニ・ハイカー、山で凍死

  • 10

    インドネシアの老呪術師が少女を15年間監禁 性的虐…

  • 1

    炎上はボヘミアン・ラプソディからダンボまで 韓国の果てしないアンチ旭日旗現象

  • 2

    口に入れたおしゃぶりをテープで固定された赤ちゃん

  • 3

    小説『ロリータ』のモデルとなった、実在した少女の悲劇

  • 4

    あの〈抗日〉映画「軍艦島」が思わぬ失速 韓国で非…

  • 5

    日韓関係の悪化が懸念されるが、韓国の世論は冷静──…

  • 6

    オーストラリア人の94%が反捕鯨の理由

  • 7

    ジョンベネ殺害事件で、遂に真犯人が殺害を自供か?

  • 8

    アレクサがまた奇行「里親を殺せ」

  • 9

    インドネシア当局、K-POPアイドルBLACKPINKのCM放映…

  • 10

    日本がタイ版新幹線から手を引き始めた理由

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
「ニューズウィーク日本版」編集記者を募集
デジタル/プリントメディア広告営業部員を募集
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月