最新記事

地球外生命体

ダーウィン進化論で考える地球外生命体の姿とは?

2017年11月8日(水)17時45分
松岡由希子

stocksnapper-iStock

<英オックスフォード大学の研究チームが、「ダーウィンの進化論が、地球外生命体の予測やその生態の理解にどのように役立つか」について示した論文を発表>

"地球外生命体"というと、不気味で恐ろしい怪物のようなものを思い浮かべがちだが、それは、人類が映画や小説などを通じてつくりあげてきた架空のイメージにすぎない。

ダーウィンの進化論が、地球外生命体の理解にどのように役立つか

英オックスフォード大学の研究チームは、2017年11月、専門誌「国際宇宙生物学ジャーナル」において、「チャールズ・ダーウィンの進化論が、地球外生命体の予測やその生態の理解にどのように役立つか」について示した研究論文を初めて発表した。

これによると、地球外生命体は、人類形成のプロセスやメカニズムと同様、いわゆる「自然選択」のように、同じ種の生存競争において、自然環境への適応力の高いものが多くの子孫を残し、次第に、より適応性があり、より強いものへと進化してきた可能性があるという。

従来、宇宙全体の生命体について探究する「宇宙生物学」では、自然界の諸現象を機械的な因果関係によって説明しようとする"機械論"的なアプローチが中心で、地球上の生命体をもとに、物理学や地質学、化学などの理論を用いて地球外生物を予測したものが多かった。

地球上の生命体ではありえない生命体を理論的に予想できる

一方、この研究論文では、進化論を適用し、地球上の生命体とは無関係に、地球外生命体の形態や機能などを予測するアプローチを提案している。このアプローチによれば、たとえば、シリコンをベースとし、DNAを持たず、窒素呼吸するといった、地球上の生命体ではありえない地球外生命体を、理論的に予測できるというわけだ。

ABlevin2.jpg

地球外生命体の進化例をスケッチ(Helen.S.Cooper)

地球上では、個々の細胞が多細胞組織になるときのように、別々の生命体がより高い階層の生命体へと大きく遷移することによって、種の複雑性が高まってきた。そして、このような遷移が起こるためには、極限状態が必要だと考えられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ地上作戦控え空爆強化

ビジネス

英消費者信頼感、4月は2年ぶり高水準回復 家計の楽

ワールド

中国、有人宇宙船打ち上げ 飛行士3人が半年滞在へ

ビジネス

米サステナブルファンド、1─3月は過去最大の資金流
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中