最新記事

マーケティング

生理の血は青くない──業界のタブーを破った英CMの過激度

2017年10月20日(金)16時50分
スタブ・ジブ

イギリスの生理用ナプキンメーカー、ボディーフォームによる業界初の赤色CM Bodyform/YouTube

<エロい?グロい?生理用ナプキンに血のような赤い液体をたらすCMが業界初登場>

生理の血は青くない。女性にとっては当たり前でも、これまで生理用品のCMを見てきた男性のなかには知らない人がいるかもしれない。そうしたCMでは昔から、生理用ナプキンのCMでは血を表すのになぜか摩訶不思議な青い液体を使ってきた。今までは。

イギリスの生理用品メーカー「ボディーフォーム」は、生理用ナプキンのCMで初めて赤色の液体を使用して話題になっている。20秒間の動画の説明はこうある。「当たり前だが、生理中の女性の血は青くない」。そしてナプキンに赤い液体を垂らす。コンビニで男性がさりげなくナプキンを購入したり、女性がコスプレパーティーでナプキンの形をしたドレスを着るシーンのほか、シャワーを浴びる女性の太ももをうっすらと血がつたう超リアルな場面もある。CMはこう結ぶ。「生理は当たり前」「生理を見せることも当たり前になるべきだ」

このCMはボディーフォームが「生理のタブーをなくす」ことを目指して展開する「ブラッド・ノーマル」キャンペーンの一環だ。発想の原点になったのは、イギリス、フランス、オランダ、スウェーデン、ロシア、メキシコ、アルゼンチン、南アフリカ、中国、マレーシアに居住する13~50歳の男女を対象に行ったインターネット調査。回答者の4分の3が、生理用品をもっとリアルに表現してほしいと回答したという。

スポーツで血を流すCMも

「生理のタブー視は、社会にとって有害だ」と、ボディーフォームのマーケティングマネジャーを務めるトレイシー・バクスターは言う。「生理用品のリーディングカンパニーとしてタブーに挑み、生理を恥や穢れとする風潮を取り除きたい。どんなタブーも、より多くの人が目にすることで、普通に受け止められる日がくると信じている」

ボディーフォームは昨年、業界で初めてナプキンの使い方を実演した動画を使ったCMを制作した。サーカス団の女性アーティストが下着にナプキンを装着する。他にも、ボクシングやロッククライミングなどで血を流しながらも頑張る女性にスポットライトを当てたCMを制作したことがある。当時のキャッチフレーズは「どんな血もあなたを止められない」。生理中でも激しい運動をあきらめなくてもいいというメッセージも込めていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マレーシアGDP、第1四半期は前年比4.2%増 輸

ビジネス

大和証G、26年度までの年間配当下限を44円に設定

ワールド

北朝鮮、東岸沖へ弾道ミサイル発射=韓国軍

ワールド

ロシア、対西側外交は危機管理モード─外務次官=タス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中