最新記事

<ワールド・ニュース・アトラス/山田敏弘>

トランプが思わずツイートした、前代未聞のベストセラーの正体

2017年4月24日(月)18時00分
山田敏弘(ジャーナリスト)

FOXニュースに出演して著書について語る保守系ジャーナリストのノウルズ Fox Business/YOUTUBE

<今年2月に保守系ジャーナリストが自費出版した、米民主党の政策ガイドがアメリカでベストセラーになっている。トランプ大統領も絶賛するその驚きの内容とは>

今アメリカでベストセラーになっている話題の本がある。

2017年2月に出版されたこの本は、すぐに8万5000部を超えるヒット作となり、アマゾンのベストセラーランキングでも1位に輝いた。とにかくアメリカで注目されている一冊だ。しかも著者が自費出版で売り出したこの本は、英語を読めない日本人でも楽しめる。

本の内容を見る前に、どれほどこの本が評判になっているのかを紹介したい。

アマゾンの説明欄には、アメリカの著名作家によるコメントが並ぶ。例えば、「ページをめくる手が止まらない」「2度、読んだ」「見事な議論である」「深い洞察にもかかわらず、非常に読みやすい」「絶対に読むべき一冊」といった文言が続く。

アマゾンのレビューからもその評価の高さがうかがえる。2200人を超える人々がレビューを書いているが、そのうちの89%が最高点の5つ星を付けている。いくつかの読者のレビューコメントを読むと、その魅力が伝わってくる。

「明瞭なメッセージだ」
「手に取ったら一気に読んでしまう。見事だ!」
「オーディオブックが出るのを待ちきれない」

そしてその評判は、ホワイトハウスにも届き、4月17日には、ドナルド・トランプ大統領が自身のツイッターでこう書いた。「読書の楽しみを得られる素晴らしい一冊だ」

そんな気になるこの本のタイトルは、『Reasons To Vote For Democrats: A Comprehensive Guide(民主党に投票をする理由:完全ガイド)』。9ドル99セントで売られている政治関連の同書は、全部で266ページ。著者はジャーナリストで編集者のマイケル・J・ノウルズだ。

ノウルズはイエール大学を卒業後、政治やアメリカ文化、アメリカの政党の歴史を専門に研究を続けている。保守系ウェブサイト「デイリー・ワイアー」で特派員も務めている。

この本の最大の売りは、266ページ中260ページが「白紙」であること。そう、何も書かれていない白紙の本なのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中