最新記事

トランプ政権

トランプの首席戦略官バノンは右翼の女性差別主義者

2016年11月16日(水)18時07分
ルーシー・クラーク・ビリングズ

散々な評判のバノン Carlo Allegri-REUTERS

<トランプが首席戦略官に選んだ男は、右翼で白人至上主義者と言われる上に、女性差別主義者だ>

 アメリカの次期大統領に選出されたドナルド・トランプは、首席戦略官としてスティーブ・バノンを起用した。同氏が側近としてホワイトハウス入りすることについて、女性の権利を訴える団体からは怒りの声があがっている。

 バノンは、オルタナ右翼(「alt-right(オルタナ右翼)とはようするに何なのか」参照)との結びつきで有名な、保守系オンラインメディア「ブライトバート・ニュース」の会長だ。バノンは、大統領選挙期間の終盤である2016年8月になって選挙対策本部の最高責任者に就任し、すぐに側近の1人となった。

 しかしバノンの経歴と評判は、女性蔑視(ミソジニー)的な言動や攻撃にまみれており、批評家たちは同氏の起用に抗議している。

【参考記事】日本と中東の男女格差はどちらが深刻か

「ドナルド・トランプは選挙期間中ずっと、ミソジニスト(女性蔑視者)として知られる人間たちを周囲に集めていた。それと同じことをホワイトハウスでもやろうとしている」。アメリカの政治活動委員会「エミリーズ・リスト」の代表者は本誌に対してそう述べた。「女性たちはトランプに説明責任を求めることができるし、そうするだろう」

フェミニストより癌がまし

 ブライトバート・ニュースには次のような見出しが踊っている。「自分の子供がフェミニストになるくらいなら癌になるほうがましだ」「女性は避妊をすると醜くなったり頭がおかしくなったりする」「テック業界は採用で女性を差別はしていない。単に女性の面接結果が最悪なだけだ」

【参考記事】トランプの新たな個人攻撃、「ヒラリーは夫の不倫相手の人生を破壊した」

 バノンは、障害を持つ女性を産休中に解雇したこともある。ニューヨーク・ポスト紙が入手した2005年9月の訴状にはこうある。「多発性硬化症を患う母親ジュリア・ペインリー=パチェッティは広報部長とマーケティング部長の職を解雇された。女性で、障害があるからだ」

 ペインリー=パチェッティは当時、バノンの直属の部下だった。訴訟は2006年に和解した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中