最新記事

教育

「YouTubeで調べてもいいのでしょうか?」...池上彰が説く、デジタル時代に子供に「教養」を身につけさせる方法とは

2023年7月18日(火)17時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

1-20230714.jpg

『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』180-181頁より

「日本経済崩壊」の動画で将来を悲観する大学生

YouTubeなどの動画サイトは、何かを知りたい時に手軽で便利です。ただ、こうした動画が玉石混交であることはよく知られています。

特に個人が発信しているものは、偏った考えや間違った情報を流しているケースがありますし、意図的にフェイク情報を流しているものも散見されます。

ある大学生に、「日本経済はもうダメです」と言われたことがあります。なぜそう思うのか尋ねると「日本中の経営者がどんどんドバイに逃げ出しているそうです。

 
 
 
 

「YouTubeでその現実を知りました」と言う。「じゃあ、日本中のたくさんの会社は誰が経営しているの?」と聞くと、アレッ? という顔をするわけです。

確かに、ドバイに逃げた経営者はいるでしょう。でもそれは、日本経済に大ダメージを与えるような数ではない。情報源がYouTubeだけだと、そこに思いが至りにくいのです。

何かを視聴するとそれに関連する動画が次々に紹介されるので、自分の興味や考えがどんどん補強され、別の意見が見えにくくなるのも一因かもしれません。

複数のソースから情報を手に入れる習慣づけを

これからの社会を生きる子どもたちは否応なくデジタル情報と関わりますから、動画やインターネットに触れてネットリテラシーを身につけることもまた、大切な学びです。

そのリテラシーのひとつとして、正しい情報を手に入れるには手間がかかるのだということを、ぜひ伝えてほしいと思います。

何かを知りたい時に、とりあえずYouTubeやTwitter、Instagramで「ああ、そういうことか」となるのはいいのです。問題は、とんでもない間違いかもしれないのに、それをそのまま信じ込んでしまうことです。

何となくこういうことと知った上で、他の方法でも調べてみる。別のサイトに目を通してみる。関連する本を読む。詳しい人に話を聞く。そういう手間をかけないと、正しい情報はなかなか手に入りません。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豪カンタス航空、7月下旬から上海便運休 需要低迷で

ワールド

仏大統領、国内大手銀の他国売却容認、欧州の銀行セク

ワールド

米国務長官がキーウ訪問、ウクライナとの連帯示す

ビジネス

米JPモルガン、CEOと会長の兼任廃止求める株主提
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中