最新記事

資産運用

「賃貸か、持ち家か」議論の答えは出ている

2021年12月28日(火)06時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
家の購入

ake1150sb-iStock.

<賃貸派・持ち家派という概念はそもそも存在しないと、経済評論家・個人投資家の加谷珪一氏は言う。どういうことか。『150人のお金持ちから聞いた 一生困らないお金の習慣』より>

この2年間、コロナ禍による経済の落ち込み、その中での株式市場の活況、「K字回復」と呼ばれる企業業績の二極化、中間層の転落と格差拡大など、人々の生活を取り巻く状況は大きく変化してきた。

今ほど切実に、多くの人がお金に関して思い悩んでいる時はないかもしれない――お金持ちになるにはどうすればいいのか?

お金の話と言えば、住まいに関する「賃貸か、持ち家か」の議論もよく話題に上る。だが経済評論家で、億単位の資産を株式投資で運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は、この分類そのものが「ナンセンス」だと言う。どういうことか。

かつて経営コンサルティングに従事していた加谷氏が、企業のオーナー経営者など約150人のお金持ちからヒアリングした内容をもとに執筆し、図版を組み合わせて分かりやすく構成した『150人のお金持ちから聞いた 一生困らないお金の習慣』(CCCメディアハウス)が出版された。

ここでは本書から、「小金持ちを目指すなら新築住宅は買うな」と題し、家の購入に対する考え方を加谷氏が解説した1節を抜粋する(抜粋第2回)。

※本書からの抜粋第1回はこちら:米国市場? 不動産? 金?「いま何に投資すべきか」を加谷珪一が解説

◇ ◇ ◇

家の購入を考えているなら、これをどう判断するのかで、支出削減の勝敗はほぼ決まる。

日本では圧倒的に中古よりも新築物件が人気である。このため、中古物件と新築物件との価格差は異常なほど大きい。掘り出し物の中古物件を見つけられれば、1000万単位で得をすることさえある。

問題なのは新築を購入する理由である。そのほとんどが「新築物件がほしい」からであって、「新築物件が必要」なのではない。

こう書くと「中古物件は耐用年数を考えると厳しい。新築のほうが長く住める」という反論が出てくる。だが、これもおかしな話だ。新築の物件Aと築10年の物件Bとでは、20年後には物件Aだけが住めて、物件Bは住めなくなるのだろうか? そんなことはない。

okanenoshukan-20211228-chart1.png

『150人のお金持ちから聞いた 一生困らないお金の習慣』201ページより

管理が良好な物件なら、35年経っても問題なく住めるはずである。これは、いい物件を選ぶかダメ物件を選ぶかの違いであって、新築か中古かという話ではないのだ。もし管理が良好で持ちがよい物件を選ぶ自信がないので、とりあえず新築と言うなら、そもそも買わないほうがよい。住宅は人生最大の買い物である。先が読めないものを勢いで買ってしまうなど、危険極まりない行為だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏が不倫口止め料支払いを個人的に指示、元顧

ビジネス

ミーム株急騰、火付け役が3年ぶり投稿再開 ゲームス

ビジネス

米国株式市場=S&P横ばい、インフレ指標や企業決算

ワールド

メリンダ・ゲイツ氏、慈善団体共同議長退任へ 名称「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 8

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 9

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 10

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中