最新記事

AI時代の英語学習

AIに「誤解」の余地を与えるな:機械翻訳で高品質な英文を作成する9つのヒント

2020年2月28日(金)12時05分
ニューズウィーク日本版編集部

5. 自分だけの「辞書」を作る

翻訳エンジンに付随する単語帳機能などを利用して、よく使う表現や業界の専門用語を登録しておくと効率が上がる。また、用字・用語や表記を統一することで訳文のブレを減らせる。

6. いきなり全文を訳さない

日本語で作成したメールやプレゼン資料を丸ごと機械翻訳にかけるのはリスキーだ。日本語では自然に思えても、論理的な飛躍や矛盾が潜んでいたり、背景知識のない相手には説明が足りなかったりする場合も少なくない。

時間はかかっても、ある程度自力で英文を作成した上で、うまく書けない部分だけ機械の力を借りるほうが結局は近道になる場合も。

7. 「ポストエディット」は目的に応じて

100%の正確さよりもスピードが命の社内メールなのか、ミスが許されない社外向けの広報資料なのか。機械翻訳の出力結果に修正を加える「ポストエディット」に求められる厳密さは、文書の用途や目的に応じて変わる。

ただし、どんな場合もAIを信じ過ぎず、「どこかに間違いがあるはず」という視点を忘れずに。

8. 「逆翻訳」でミスを発見

ポストエディットの際に間違いをあぶり出す手軽な方法として推奨されるのが「逆翻訳」だ。これは表示された英文をもう一度機械翻訳にかけ、日本語に訳し戻してみるという方法。表示された日本語が原文の意味とほぼ合致していれば、英訳にも大きな間違いはないと判断できる。

逆翻訳のアイコンが付いているエンジンも多いが、最初に使ったのとは別のエンジンで逆翻訳を行うと、より間違いを発見しやすい。おかしな点が見つかった場合は、プレエディットの原則に立ち返って原文の日本語を修正しよう。

9. コストを惜しまない

自己チェックや逆翻訳が有効なのは「大意が合っていればOK」の場合だけ。社外に出す正式な文書などは専門家の最終チェックを受けるコストを惜しまないこと。AIに頼り過ぎて信頼を失ってしまっては、元も子もないのだから。

<2020年3月3日号「AI時代の英語学習」特集より>

【参考記事】すでにTOEIC960点越え、日本の第一人者に「国産」機械翻訳について聞いた
【参考記事】英語学習は不要になる? どんな能力が必要に? 機械翻訳の第一人者に聞いた

20200303issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月3日号(2月26日発売)は「AI時代の英語学習」特集。自動翻訳(機械翻訳)はどこまで使えるのか? AI翻訳・通訳を使いこなすのに必要な英語力とは? ロッシェル・カップによる、AIも間違える「交渉英語」文例集も収録。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ドル152円割れ、4月の米雇用統計が市場予想下回る

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中