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なぜ「経営理念」だけでは稼げないのか?...仕事は「中間システム」の具体化がカギだった

2023年11月11日(土)09時22分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
お金

Jirsak-shutterstock

<現場がよく回り、経営理念を体現できている職場の要は「中間システム」にある。では、そのシステムはどのようにつくることができるのか?>

いま、ビジネスで有効だと言われているのが「具体と抽象」という概念だ。企業コンサルタントの谷川祐基氏は「具体化と抽象化だけで、仕事の10割はうまくいく」と言う。それはなぜか?

社内コミュニケーション、会議、トラブル、仕事への情熱など、仕事上の課題をすべて「具体と抽象」で解決する、新刊『仕事ができる 具体と抽象が、ビジネス10割解決する。』(CCCメディアハウス)より一部抜粋する。

◇ ◇ ◇

経営理念は現場に伝わらないという前提に立つ

理念や価値観を誤解なく共有できる範囲は、せいぜい10人前後と言われる。小学校のクラスを思い出して欲しい。

仲のいい、気のおけない友達というのは、せいぜい10人ぐらいのグループにしかならない。40人のクラス全員が一丸となって協力し合うようにするのは至難の技である。

一応、有能なリーダーは100人ぐらいの組織に熱い想いを直接伝えることができるとされており、私もその実例を見たことはあるが、それはかなりのレアケースであり、超人的な能力を持つリーダーだけがなせる技だろう。

従業員が何千人何万人もいるような大企業であれば、全員で理念や価値観を共有することは不可能と言ってよい。

それでは、経営理念を作る目的、そして経営理念が機能する仕組みとはいったい何なのだろうか? その答えは、やはり《具体》と《抽象》にある。

本書で描いた組織図(図2)では、いちばん抽象側に「リーダー」がいて、いちばん具体側に「プレイヤー」がいた。そしてその中間には「マネージャー」がいた。

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もちろん現実の組織はこのように単純でなく、階層はもっと複雑で細分化されている。階層の境界も曖昧で、どちらに属するか不明瞭な役職も多い。

しかし、あらゆる組織に共通することがある。それは組織内に、「いちばん抽象側の点」「いちばん具体側の点」そして、「その中間」が必ずあるということだ。経営理念の機能についても、必ずこの3つに注目しなければならない。

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