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【2016年注目の動き】自動運転車と配車サービス、小型ドローン、VR

2016年1月5日(火)17時00分
三国大洋(オンラインニュース編集者)

 いっぽう、この対抗馬としてもっとも注目を集めそうなのが、アクションカメラ・メーカーのゴープロ(GoPro)。もともとDJI製ドローンにゴープロのカメラを積んで空撮するユーザーが多かったことから、DJIが自社でカメラを搭載する新製品を開発・発売し、それに対抗してゴープロ側でもドローン市場に参入、という格好で、このゴープロ製ドローンが今年前半にも発売になる。この2社のほかに、仏パロット(Parrot)、米3Dロボティクス(3D Robotics)なども加わって、特定のユーザーや用途に特化した製品開発が進むかも知れない。

 こうした製品メーカー同士の争い以上に興味を惹くのが、プロセッサメーカーの動きで、たとえばクアルコムはドローン向けに特化した「Snapdragon Flight」というチップセットを投入して、「現在1200ドルくらいで販売されている4Kカメラ搭載ドローンの値段を300〜400ドル程度まで引き下げる」としている。またこのチップセットには空間の奥行きも把握できる3Dセンサも内蔵されており、撮影した影像から3Dマップを作成することなどが想定されているという。

 クアルコムと競合するインテルでも、アスセンディング・テクノロジーズ(Ascending Technologies)というドイツのドローン開発ベンチャーを買収したと米国時間4日に発表していた。アスセンディングの製品にもインテルの「RealSense」用3Dカメラが採用されているというから、想定しているドローンの用途はクアルコムのそれと方向性はほぼ一緒ーーやはり3Dマップ作成ということだろう。

(3)VR

 VR(Virtual Reality)関連では、すでにサムスン「Gear VR」とGoogle「Cardboard」という2種類のヘッドセットが発売されており、フェイスブック傘下のオキュラス(Oculus)も6日からヘッドセットの予約受付を開始予定。また台湾HTC、ソニーからもヘッドセットが発売になる。これに関して「VRの映像処理に対応できる高性能PCが世界中にまだ1300万台程度しか存在しない」というエヌヴィディアの推定が昨年末にBloombergで報じられてちょっとした話題になっていた。

 そうした点を含めて考えると、すでに普及台数が2500万台を突破したとされる「PlayStation 4」の存在を前提につくられたソニー製品が一歩優位といえるかもしれない。ただ、Bloomberg記事には、今年中のVRヘッドセットの普及台数について約700万台とするIHSの推定と、120万台とする米Consumer Technology Association(CES主催団体)の予測が併記されており、全体として期待は大きいがどこまで広く普及するかはまだ未知数といった感じも伝わってくる。

 普及のカギを握るとされるコンテンツについては、いまのところやはりゲームなどが中心のようで、またWSJ記事では「乗り物酔い」に似た不快感のような課題がどこまで解決されているかといった点も指摘されている。そうしたこともふくめ、もうしばらくは試行錯誤の期間が続くのかもしれない。

 またゲームをはじめとするエンターテイメント以外の用途についても気になるところ。たとえば、上記のドローンとの関連でいうと、ドローンの3Dカメラをつかって撮影・作成した3次元マップのなかをVRヘッドセットを装着したユーザーが探索できる、といったものが実現できればいろいろな目的にVRが活用できるようにも思われるが、そうしたものがはたして実現可能かどうかなどはよくわからない。

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