コラム

トランプ弾劾に立ちはだかる「上院3分の2以上が賛成」の壁

2021年02月09日(火)19時30分

とにかく共和党としては、そうした事件とは無関係の憲法論争を行って16時間を使い切る、その上で非常に積極力のある議論ができて、裁判そのものが無効だとアピールできれば儲けもの、そんな感触を持っているようです。

一方で、民主党側は同じく16時間を使って可能な限り、動画などの「乱入事件の証拠」を突きつけるとか、あわよくば議会警察の警察官などの証人を呼んで、事件の実態を確認しようとする計画のようです。

そこで、これまで未公開のショッキングな証拠が出てきたり、トランプの「扇動」について、驚くような具体的な内容が出てきたりするようですと、これは政治的には共和党に不利になります。

仮に多くの共和党議員が、2022年の中間選挙まで1年9カ月を切った現時点で、特に上院議員選挙について中間層を敵に回すのは怖いと判断したら、違憲決議に賛成したことなど忘れて、最終的に弾劾に「イエス」を言う可能性もゼロではありません。

ただ、そうしたハプニングが起きる可能性は限定的であり、弾劾賛成67票というハードルはやはり高いと思われます。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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