最新記事
シリーズ日本再発見

働かせ過ぎる日本の会社に、2つの提案がある

2021年11月22日(月)11時00分
高野智宏

いま、52分間仕事して17分休憩する「52-17の法則」や、25分間働くごとに5分間の休憩をルーティーン化する「ポモドーロ・テクニック」などが、業務効率を上げる手法として話題となっている。昼寝(仮眠)の効用に関する研究も進んでおり、アメリカでは昼寝を推奨する企業も増えているという。

ただ、休憩と言えば、社会からやり玉に挙がっているのが「たばこ休憩」だ。昨年4月には「望まない受動喫煙の防止」を目的とした改正健康増進法が全面施行され、多くの企業で社内の喫煙所が閉鎖された。

就業時間内は喫煙禁止とする企業、テレワーク中にすら禁煙を義務付ける企業まで現れはじめ、多くの喫煙者は肩身の狭い思いをしている。休憩そのものの重要性は見直されているはずだが、非喫煙者からすれば、たばこ休憩などもってのほかの行為に映るのだろう。

そんな風潮に森永氏は「たばこ休憩は業務に支障をきたすどころか、新しいアイデアが生まれるきっかけにもなる。僕はたばこ休憩大賛成派です」と言う。どういうことか。

「喫煙室は部署の垣根を超えコミュニケーションが取れる場所です。その会話から有益な情報を得て、新しい製品やサービスが生まれるかもしれない。また、日頃接点のない上層部の人と会話できる可能性も高く、通常の業務だけでは得られないチャンスが生まれる場所でもあるのです」

長時間労働を放置していいわけがない

先日、SF小説の大家であり俳優としても活躍してきた筒井康隆氏と話す機会を得た。「働き過ぎな日本人」について、筒井氏は「日本人は働くのが好きなんですね。喫煙ルームや居酒屋でも話題は仕事のことばかりです。だから遊び方をあまり知らない」と言う。

先の森永氏による「好きな仕事は苦にはならない」という言と同様、筒井氏自身も、仕事を苦だとは捉えていないようだ。「私などは、仕事が遊びみたいなもんですからね。仕事しながら休憩しているみたいなもんです。それに喫煙。いまでも1日ひと箱は吸っています。酒も芋焼酎やバーボンを呑みます。」と、デビューから60年以上経ったいまも精力的に執筆活動を続ける秘訣を明かす。

働くとはどういうことか。人によって、その答えはさまざまかもしれない。だが、一日の大半を費やす行為である以上、長過ぎる労働時間を放置していていいはずがない。

仕事を楽しむことも重要、適切な休憩を取ることも重要。そして企業が従業員のために、そうした環境を整えることも重要ではないだろうか。

japan_banner500-season2.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

2日に3兆円超規模の円買い介入の可能性、7日当預予

ワールド

OECD、英成長率予想引き下げ 来年はG7中最下位

ビジネス

海運マースク、第1四半期利益が予想上回る 通期予想

ビジネス

アングル:中国EC大手シーイン、有名ブランド誘致で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中