コラム

今も気に入らない女性はなぶり殺し...「タリバンは変わった」の大間違い

2021年09月21日(火)18時35分

イスラム教徒にとってイスラム法は神の法だ。神は男と女のそれぞれにふさわしい「役割」を与えてくださったと彼らは信じる。女の役割は家事と子育てだ。女の子は生まれた時から妻となり母となるために生きることが運命付けられている。外出や就学、就業が禁じられるのは、それらが「役割」の妨げになるからだ。

タリバンは女性の医師や教師には就業を認めるかもしれない。しかしそれは女性を診察し女子に勉強を教えるという「役割」が必要とされているからにすぎず、彼女たちもまた父や夫に支配され管理されていることを忘れてはならない。タリバンはかねてよりイスラム法による統治を行う、民主主義は採用しないと宣言している。「イスラム法の範囲内での女性の人権」は、近代的な意味での女性の人権と根本的に異なる。

タリバンは変わることなどない。近代的な意味での女性の人権を認めればイスラム法に抵触するからである。タリバンへの安易な期待は、アフガン女性をさらなる絶望の淵へと追い詰めるだけだ。

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プロフィール

飯山 陽

(いいやま・あかり)イスラム思想研究者。麗澤大学客員教授。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(東京大学)。主著に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『中東問題再考』(扶桑社BOOKS新書)。

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