ニュース速報
ビジネス

4月ロイター企業調査:IR強化や成長投資、株主還元で東証要請に対応へ

2024年04月18日(木)10時07分

4月のロイター企業調査で、東証が要請している資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について今後半年以内の行動を聞いたところ、「IR活動の強化」、「成長投資」、「株主還元」がそれぞれ5割程度(複数回答可)と上位を占めた。英文開示については9割が負担に感じているという。写真は東京証券取引所で2020年10月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Kentaro Sugiyama

[東京 18日 ロイター] - 4月のロイター企業調査で、東証が要請している資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について今後半年以内の行動を聞いたところ、「IR活動の強化」、「成長投資」、「株主還元」がそれぞれ5割程度(複数回答可)と上位を占めた。英文開示については9割が負担に感じているという。

調査は4月3日─4月12日。調査票発送企業は497社、回答社数は235社だった。

東証は昨年3月、プライム市場とスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請した。対応を「検討中」としたのは5割超で、非企業を除くと約7割となった。

今後半年の企業行動は「IR活動の強化」が55%、「成長投資」が52%、「株主還元」が48%となり、「事業ポートフォリオの最適化」が26%で続いた。「特に考えていない」との回答も9%あった。

回答企業からは「IRはコンサルタントを入れて強化していく」、「業績に連動した株主還元はかねてより実施。企業の永続を実現するためには、常に成長分野への投資を模索しなくてはならない」(ともに食品)、「25年3月期前半にはサステナビリティ方針を策定予定。キャピタルアロケーションや事業ごとROIC(投下資本利益率)の開示についても順次検討を進める」(窯業)などの声が聞かれた。一方で、「東証要請は株主を意識しすぎている。株主還元偏重にならないよう留意している」(機械)との指摘もあった。

2025年4月以降、プライム上場企業に決算情報と適時開示情報の日英同時開示が義務づけられたことについて「すでに体制は整っている」とした回答は18%にとどまった。「25年4月までに体制を整える予定」が53%と過半を占めた。期限までに体制を整えることは「困難」とした企業も27%あった。

英文開示の要請について91%が「負担である」と回答した。

IR活動について「体制が整備されている」とした企業は38%で、すでに社内に専門部署が設置・新設され、機関投資家向けIR説明会や個人投資家向け説明会などが開催されている。「検討中」とした企業からは「重視しており、対応を拡大中」(繊維)、「非財務情報のさらなる開示などに対応していく」(機械)と前向きな声が聞かれる一方、「東証の理念は分かるが、限りある経営資源の振り分けには苦慮している(食品)との指摘もあった。

(杉山健太郎 グラフィック作成:照井裕子 編集:橋本浩)

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=1─2%下落、FOMCに注目

ワールド

ファタハとハマスが北京で会合、中国が仲介 米は歓迎

ビジネス

アマゾン、第2四半期売上高見通し予想下回る 第1四

ビジネス

スタバ、第2四半期の既存店売上高が予想外に減少 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 5

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 6

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 10

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中