ニュース速報

ビジネス

米大統領、4年ぶりにASEAN首脳会議に参加 中国に関する言及なし

2021年10月27日(水)07時58分

バイデン米大統領は26日、オンライン形式で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に参加した。写真はバイデン氏(2021年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン/バンダルスリブガワン 26日 ロイター] - バイデン米大統領は26日、オンライン形式で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に参加した。米大統領の参加は2017年以来4年ぶりで、バイデン氏は冒頭発言でASEANに対するコミットメントを表明。ただ、中国に関する言及はなかった。

バイデン氏は冒頭発言で「自由で開放的なインド・太平洋地域は、これまで何十年にもわたり、われわれの安全保証と繁栄の礎になってきた。これを維持するために、米国とASEANとの関係は必要不可欠だ」と表明。ASEANについて「全ての国が公平に競争し成功でき、国の規模や力強さにかかわらず、全ての国が法律に従う」地域との考えを示した。中国に関する直接的な言及はなかった。

米国がASEAN首脳会議に出席しなかった4年間に米中関係は悪化。年内に予定されるオンライン形式での米中首脳会議の準備が進められる中、米政府当局者も中国に関する言及を控えている。

アナリストは、バイデン氏がASEAN首脳会議に参加したことの背景には、中国に対抗するために同盟国やパートナー国との連携を強める意向があるとの見方を示している。

ホワイトハウス当局者によると、バイデン大統領はASEANとの戦略パートナーシップの拡大に向け、最大1億0200万ドルを拠出する計画を発表する。このほか、日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による安全保障や経済を協議する枠組み「クアッド(Quad)」と、米英豪の安全保障協力「AUKUS(オーカス)」はASEANの地域的な役割に取って代わるものではないと確約する。

バイデン大統領は27日に東アジア首脳会議(サミット)に参加する。

<ミャンマー代表不在>

ASEAN首脳会議は、ミャンマーからの代表不在で開幕した。ASEANは10月15日の会合で、ミャンマーが4月のASEANとの和平に向けた合意を履行していないとして国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官を首脳会議に招請しないとし、代わりに非政治的な代表を招くことを決めた。これに対してミャンマーは、国家元首か閣僚級の人物の出席のみに同意するとしていた。

来年の議長国であるカンボジアのフン・セン首相は「ミャンマーをASEANの枠組みから追放したわけではない。ミャンマーがその権利を放棄したのだ」と述べた。

インドネシアのルトノ外相は、ミャンマーのための席が用意されていたが、ミャンマーが出席しないことを選択したと述べた。

ホワイトハウスによると、バイデン氏は首脳会合でミャンマー国内の暴力に「重大な懸念」を表明し、不当に拘束されている人々を解放するよう国軍に求めた。

タイのプラユット首相は、ASEANとの合意事項を履行するようミャンマーに求めた。

ミャンマーは、国家元首か閣僚級の人物の出席が認められなかったため欠席したと説明。外務省が発表した声明は「ASEANに対する抗議を示したり、ASEANをボイコットするつもりはない」としている。

*カテゴリーを変更して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中