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豪実質GDP、第1四半期は前期比-0.3% 30年ぶりのリセッションへ

2020年06月03日(水)13時01分

 6月3日、オーストラリア統計局が発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.3%減と、9年ぶりのマイナス成長となった。写真はオーストラリアで3月撮影(2020年 ロイター/Loren Elliott)

[シドニー 3日 ロイター] - オーストラリア統計局が発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.3%減と、9年ぶりのマイナス成長となった。

新型コロナウイルス対策でビジネスセクターが全般的に閉鎖される中、豪経済は30年ぶりにテクニカル・リセッション(2四半期連続のマイナス成長)に陥り、世界最長レベルとなっている景気拡大期間は更新が止まる見通しだ。

第1・四半期のGDPは前年比では1.4%増加し、2009年の金融危機以降で最も低い伸びとなった。

衣料や自動車、輸送、娯楽、ホテル、飲食関連の支出が大幅に減少し、家計消費がGDPを最も圧迫。

純輸出と政府支出が下支え要因となった。

国内の新型コロナの感染者は3月初旬に100人を下回っていたが、現在は7000人を超えている。政府は国境を閉鎖し、大規模集会を禁止している。

中銀は景気下支えに向けて政策金利を過去最低水準に引き下げ、無制限の債券買い入れ措置に着手した。

豪経済は、新型コロナに伴う移動規制が導入される前に、既に山火事や観光業と内需低迷の打撃を受けていた。

BISオックスフォード・エコノミクスのチーフエコノミスト、サラ・ハンター氏は「数カ月前に比べると、目先の見通しは改善しているが、まだ経済面の課題は残っている」と指摘。

「縮小の規模とペースは前例がない」とし「投資の見通しも非常に不透明だ。建設部門の着工統計や資本財の輸入統計をみとると、支出は下半期に著しく鈍化するだろう」との見方を示した。

フライデンバーグ財務相は3日の会見で、新型コロナの封じ込め対策で経済に「大きな負担が生じている」と発言。「公衆衛生対策は成功を収めたが、今日の国民経済統計で明らかなように、大きな負担が生じている」と述べた。

同相は「財務省の情報に基づけば、第2・四半期は第1・四半期以上の大幅なマイナス成長になる見通しだ」と指摘した。

GDP統計の発表を受け、豪ドルは5カ月ぶり高値の1豪ドル=0.6982米ドルから下落。豪株式市場<.AXJO>も伸び悩む展開となっている。

NABのエコノミスト、Kaixin Owyong氏は「第2・四半期の経済活動は新型コロナの影響で大幅に縮小するが、第3・四半期に回復が始まるだろう」と予想。「ただ、本格的な回復は先になる。いつ国境の封鎖が解除され、観光客や留学生が戻ってくるかが不透明だ」と述べた。

また「本格的な回復には、公衆衛生や経済に対する自信の回復も必要だ。失業が記録的な水準に達していることに加え、過去の事例から見ると労働市場は経済活動の回復に遅れて改善する傾向があることから、家計部門は当面、慎重な姿勢を崩さない可能性がある」と述べた。

*内容を追加して再送します。

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