ニュース速報

ビジネス

小学生に1人1台PCを検討、企業の内部留保活用も=経済対策で西村再生相

2019年11月20日(水)14時44分

 11月20日、西村康稔経済再生相(写真)は、都内の日本記者クラブで講演し、7─9月の国内総生産(GDP)1次速報などを踏まえ、内需は堅調との認識を繰り返す一方、輸出や生産が減少するとサービス業や投資にも影響するため注視するとし、消費についても下支えが必要と強調した。写真は都内で9月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

[東京 20日 ロイター] - 西村康稔経済再生相は20日、都内の日本記者クラブで講演し、現在策定中の経済対策の一環として全国の小学生を対象に1人1台のパソコン普及を検討していることを明らかにした。さらに対策として、企業の内部留保活用策も模索していると表明した。規模は明言を控えたが、昨年より経済環境が厳しいことを踏まえたいと指摘し、昨年以上の規模が望ましいとの考えを示唆した。

<マクロ経済・台風は「昨年以上の状況」─経済対策規模で>

教育現場のIT(情報技術)化促進のため、西村再生相は「小学校、中学校、高等学校を含めてすべての子供たちが新しい時代の技術に親しめるようにするのが基本的な考え方」としつつ、一度での実現は難しく、指導者も不足しているなどの議論があるため、全国の小学生を対象とし、現在文部科学省、財務省と最終調整中だと明らかにした。

経済対策の規模に関して「安倍晋三首相から、しっかりとした規模感で経済運営を万全にするように指示を受けている」と説明。「マクロ経済の状況や今回の台風被害の状況、これは昨年(の災害被害)以上のものがあり、このような状況をしっかり踏まえ、日本経済が、しっかりと成長軌道に乗り、海外経済のリスクを乗り越えていける、力強い経済対策を作りたい」と語った。

経済財政諮問会議や与党幹部から、最低限、昨年の経済対策規模(2018年度補正予算4兆円と19年度の消費増税対策予算2兆円の合計6兆円)を望む声が相次いでおり、西村再生相もこれらを意識したとみられる。

西村再生相は、経済対策に企業の内部留保活用策も盛り込む意向を表明した。内部留保への「課税は難しい」とし、賃上げなど「労働分配率の向上に結びつくインセンティブを模索している」という。

このほか、経済対策には、支流も含めた広範囲な河川のしゅんせつや次々世代通信技術(ポスト5G)関連プロジェクトも盛り込みたい意向を示した。

<10年前の総裁選出馬「良い経験」>

7─9月の国内総生産(GDP)1次速報などを踏まえ、内需は堅調との認識を繰り返す一方、輸出や生産が減少するとサービス業や投資にも影響するため注視するとし、消費についても下支えが必要と強調した。

通商交渉担当相として、インドに世界経済をけん引してほしいとの認識を示した。インドが東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に慎重な姿勢を示しているのは対中貿易赤字を懸念しているため、と解説した。環太平洋連携協定(TPP)に関しては英国とタイの早期参加に期待を示した。

日本記者クラブの登壇は10年前の自民党総裁選出馬以来で、当時は「実力も経験もなかったが、良い経験をさせてもらった」と振り返った。

*内容を追加しました。

(竹本能文 編集:内田慎一)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中