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米10月鉱工業生産、製造業部門5カ月連続プラス
[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が16日発表した10月の鉱工業生産指数は、製造業部門が0.3%上昇し5カ月連続でプラスとなった。自動車生産が落ち込んだものの、部門全体としては底堅さがあることを示した。市場予想は0.2%上昇だった。
9月の数字は当初発表の0.2%上昇から0.3%上昇へ上方改定された。
製造業生産指数のうち自動車は2.8%低下し、9月の1.3%上昇からマイナスへ転じた。
エコノミストはマイナスに転じたことの背景にはトランプ政権が発動させた鉄鋼・アルミニウムに対する輸入関税措置があると指摘。ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、スティーブン・シッカレッラ氏は「自動車メーカー各社は銀行融資基準の厳格化などの向かい風にこれまで良く耐えてきたが、循環的な需要が疲弊しつつあるなかで、鉄鋼・アルミ関税は下向きのリスクとなっている」と述べた。
自動車・同部品を除くと0.5%上昇した。設備投資が底堅く伸び、全体を押し上げた。9月は0.2%上昇していた。
ビジネス機器は0.8%上昇。前月も0.8%上昇していた。第4・四半期は企業による機器への投資が上向く可能性が示唆された。
米経済の約12%を占める製造業は、好調な国内経済が下支え要因となっている。ただ労働力が不足する中で生産能力が抑制要因となってきているほか、原材料価格が上がっており、製造業は勢いを失いつつある。ドル高や世界経済の鈍化によって輸出が抑制されていることも痛手だ。このほか、トランプ政権が打ち出した減税措置の効果が薄れるに伴い、製造業部門は来年は減速するとの見方も出ている。
ドルは米国の主な貿易相手国の通貨に対し年初から約8.1%上昇し、輸出の重しとなっている。キャピタル・エコノミクス(ロンドン)の米国担当エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「製造業部門はドル高と世界経済の減速によく耐えている」と指摘。ただ「製造業購買担当者景気指数(PMI)は特に中国で軟調となっており、このことは製造業部門の現在の力強さは持続可能でない公算が大きいことを示している」との見方も示した。
鉱工業生産指数のうち鉱業生産指数は0.3%低下。9月は0.1%低下していた。鉱業のうち石油・ガス掘削は1.6%上昇し、4カ月ぶりのプラスとなった。
電力・ガス生産指数は0.5%低下。9月は0.1%低下していた。
企業がどれだけ十分に設備を稼動しているかを示す設備稼働率は製造業部門が76.2%と、2015年7月以来の高水準をつけた。9月は76.1%だった。全体の設備稼働率は78.4%と、前月の78.5%から低下した。1972-2017年の平均を1.4%ポイント下回っている。FRBは、経済に内在する需給の緩みを見るために設備稼働率に注目している。