ニュース速報

ビジネス

日本経済の先行き、必要以上に悲観的になる必要ない=布野日銀委員

2018年02月21日(水)11時36分

 2月21日、日銀の布野幸利審議委員(写真)は、島根県・松江市で行われた松江支店開設100周年記念講演会で講演し、人口減少などの課題を抱える日本経済の先行きについて、アジア需要の取り込みや生産性向上などが期待できるとし、「必要以上に悲観的になる必要はない」と訴えた。写真は都内で2015年7月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 21日 ロイター] - 日銀の布野幸利審議委員は21日、島根県・松江市で行われた松江支店開設100周年記念講演会で講演し、人口減少などの課題を抱える日本経済の先行きについて、アジア需要の取り込みや生産性向上などが期待できるとし、「必要以上に悲観的になる必要はない」と訴えた。

布野委員は日本経済について、人口減少や生産性の鈍化などによって潜在成長率がすう勢的に低下し、最近ではゼロ%台後半にとどまっていると述べ、「このような成長率の低下が続いてきた経験に伴って人々の成長期待も低下しているためか、先行きの日本経済についても悲観的な見方が広く聞かれている」と語った。

もっとも、先行きを展望すれば「必要以上に過小評価する必要はなく、もっと前向きに考えてよい」と強調した。

その理由として、労働力人口の減少を背景に企業が労働環境の改善に努めているほか、政府も労働市場改革に取り組んでいることを挙げ、「女性や高齢者の労働参加が進み、労働力率は上昇傾向にある」と指摘。

人口減に伴う需要の減少についても「高成長が続いているアジア地域とわが国が近接していることは重要な視点」とし、「立地上の利点を活かして、アジア地域の需要の取り込みを、国内需要減少への対策とすることができる」と語った。

生産性についても「わが国経済を見渡すと、生産性を高める余地が大いにある」とし、インターネットの利用高度化や人口知能・ロボットの発展など新たな技術の普及が「生産や業務の効率化をもたらすだけではなく、新たな商品やサービスを開発し、提供することによって新規需要を掘り起こすことができる」と主張。

現在の消費と投資は増加の兆しを見せているとし、「こうした傾向は今後イノベーションを後押ししていくだろう」と指摘した。

(伊藤純夫)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、金利据え置き インフレ巡る「進展の欠如」指

ビジネス

NY外為市場=ドル一時153円台に急落、介入観測が

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ワールド

イスラエル軍、ガザ攻撃「力強く継続」 北部で準備=
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中