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インタビュー:円高・米鉄鋼輸入制限の検討に警戒感=新日鉄住金副社長

2018年02月19日(月)10時44分

 2月19日、新日鉄住金の栄敏治副社長はロイターのインタビューで、対米ドルで15カ月ぶりの円高水準で推移する為替相場の影響や、トランプ米政権が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置を検討していることに警戒感を示した。写真は2012年11月、東京都内の同社本社前で撮影(2018年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 19日 ロイター] - 新日鉄住金<5401.T>の栄敏治副社長はロイターのインタビューで、対米ドルで15カ月ぶりの円高水準で推移する為替相場の影響や、トランプ米政権が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置を検討していることに警戒感を示した。栄副社長は円高が一段と進展した場合、「自動車や建機など当社のユーザーが輸出型の製造業が中心なので、影響は無視できない」と指摘した。米政権による輸入制限については、従来通り日本政府がこれに反対するよう求める構えだ。

<円高、需要家との価格交渉に影響も>

為替相場の変動は、同社の収益には直接的には「大きなインパクトにはならない」という。円高の場合、製品輸出へのマイナス影響と、海外から調達する鉄鉱石や原料炭などの原材料の輸入代金が目減りするプラス影響などがおおむね相殺されるためだ。

ただ、輸出産業を中心とする鉄鋼ユーザーへのマイナス影響が間接的に同社に波及する恐れがある。円高が一段と進展した場合の影響について栄氏は「(鉄鋼の)需要産業の輸出が落ち、収益が落ちると、(新日鉄住金にも)非常にネガティブに効く」と述べた。

同社では、鉄鉱石と原料炭など主原料の高騰については、製品価格への転嫁により「ほぼ回収した」(2月1日の決算発表で栄氏)が、メッキ鋼板に使う亜鉛などの副原料の値上がり分の製品転嫁は「苦戦している」(インタビューで栄氏)という。円高が一段と進行した場合、需要家側の交渉姿勢は「当然、厳しくなるだろう」とみている。

<米鉄鋼輸入制限の検討、日本政府は反対を>

トランプ米大統領が、米通商拡大法232条の適用による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置を検討していることについて、栄氏は「(日本の鉄鋼)業界の共通の声として、自由貿易の立場から反対だし、日本政府は米政府に対してきちんと言ってほしい」と強調した。

米商務省は16日(米国時間)、トランプ大統領に対し、安全保障上の理由から鉄鋼とアルミの輸入を大幅に制限するよう提言。トランプ大統領は鉄鋼に関しては4月11日まで、アルミに関しては4月20日までに輸入制限を実施するか決定する。

栄氏は、輸入制限措置が実施された場合の影響について「当然、マーケット自体は緩む。(米国向けに輸出されていた鋼材の)行き先がなくなり、アジアに流れてくるので、われわれにとってはマイナスだ」と指摘した。

*インタビューは15日に実施しました。

(インタビューアー 大林優香、浜田健太郎)

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