Picture Power

【写真特集】ここまでやる!「ごみゼロ」イタリア小都市の挑戦

ZERO WASTE CITY

Photographs by Alberto Bernasconi

2021年11月03日(水)10時45分

「ごみゼロの街」を目指すカパンノリで、ごみの再利用を行う団体ダカーポ(イタリア語で「再び」の意)。ダニエレ・ギドッティは家具を担当する

<ごみ袋にはマイクロチップ。リサイクルのプラットフォーム。1人の小学校教員がトスカーナ地方のカパンノリを動かした>

地球上でごみを出すのは人間だけだ――。

イタリア・トスカーナ地方の小都市カパンノリでは、小学校教員のロッサーノ・エルコリーニが環境活動家としてあるプロジェクトを進めている。「ごみゼロ」の街づくりだ。

きっかけは、ごみ焼却施設がもたらす悪影響への思いだった。地元住民にその危険さを語りながら撤廃を訴え続けると、共感した市民の力で新規建設を禁止に追い込んだ。

エルコリーニの活動はごみ有料化も実現させた。ごみ袋に貼られたマイクロチップから収集車が重さや種別を読み取り、それに基づいて料金を請求する。

参加世帯はリサイクルできない廃棄物を年間3キロ以内に抑えることを目指す。

もう1つの柱がリサイクルだ。そのために設けられたプラットフォームが「ダカーポ」(イタリア語で「再び」)。

家具や寝具、服や家電など、あらゆる日用品を再利用するための修理や販売を手掛けている。

エルコリーニの目標は、イタリアやヨーロッパでより多くの街がこうした取り組みに参加すること。そしてカパンノリが、ごみゼロで世界をリードすることだ。

(本誌11月9日号「世界を救う欧州SDGs」特集では、老舗アパレルのサプライチェーン改革や新鋭IT企業の食品ロス解消アプリ、自治体の都市計画に至るまで、持続可能性にしのぎを削るヨーロッパの知恵と戦略をリポートする)


211109P62_PP_02.jpg

リサイクル収集車から肘掛け椅子を降ろすダカーポのスタッフ。車体には「この車はダサいがダカーポはいけてる」のメッセージが


211109P62_PP_03.jpg

ダカーポの倉庫には、家庭から出たあらゆる種類の廃棄物が集められる。なかには修理されて高値で販売されるものも


211109P62_PP_04.jpg

市民が捨てた家電製品には修理すれば使えるものも。ミケーレ・グラヌッチは安全性の確認作業を行う

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏成長率、第1四半期は予想上回る伸び 景気後

ビジネス

インタビュー:29日のドル/円急落、為替介入した可

ワールド

ファタハとハマスが北京で会合、中国が仲介 和解への

ビジネス

ECB、インフレ鈍化続けば6月に利下げ開始を=スペ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 8

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 9

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 10

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story