コラム

「自粛要請」で外出を控えた日本人は世界に冠たる不思議な人々

2020年07月10日(金)11時05分

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<国民に外出を控えさせるにはどうすればいいか、というジョーク。アメリカ、イギリス、中国、フランス、そして日本。世界にはさまざまな「ステイホーム」がある>

【外出】
コロナ禍において、世界各国の政府が国民に外出を控えるよう求めることになった。

アメリカ政府はこう発表した。

「外出は正義に反する」

アメリカ国民は外出しなくなった。

イギリス政府はこう発表した。

「外出することは紳士的ではない」

イギリス国民は外出しなくなった。

中国政府はこう発表した。

「外出したら拘束する」

中国国民は外出しなくなった。

フランス政府はこう発表した。

「外出しろ」

フランス国民は外出しなくなった。

日本政府はこう発表した。

「外出の自粛を要請します」

日本国民は外出しなくなった。

◇ ◇ ◇

今回の新型コロナウイルス感染拡大の局面における世界各国の対応は、それぞれの国柄や国民性が色濃く反映された興味深いものとなった。

欧米などの多くの国ではロックダウン(都市封鎖)を実施。罰則を伴う厳しい外出禁止令に踏み切った。

しかし、日本はあくまでも「自粛要請」という「緩い」かたちでの対応を選択。当初、海外の目はこのような日本の姿勢に対して批判的だった。「罰則がなければ外出者数を抑え込めるわけがない」というのが世界の常識だったのである。

世界に冠たる不思議な人々

しかし、日本人は外出を控えた。感染者数は他の主要国よりも桁違いに低い水準で推移した。

そのような実態が明らかになってくると、世界のメディアは「ミラクル」「ジャパン・パラドックス」といった表現で報道するようになった。英紙ガーディアン(電子版)は「今、日本は確固たる証拠を持って、新型コロナ対策に成功した国だと主張することができる」と報道。また、米テレビ局FOXニュースの司会者が日米を比較してツイートすると、こんな声が集まった。

「われわれアメリカ人は『俺たちはできる』という自信ゆえに、常識に従うことができない。日本人は風邪をひいたとき、周囲を守るために何十年もマスクをしてきた」「日本は『われわれ』という部分を意識する。だが、ほとんどのアメリカ人は違う。アメリカ人が心配するのは『私』。アメリカの利己的な部分が破滅の原因」

【関連記事】コロナウイルスで露呈した中国の本性(一応、ジョークです)

プロフィール
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18

ワールド

パプアニューギニアで大規模な地すべり、300人以上

ワールド

米、ウクライナに2.75億ドル追加軍事支援 「ハイ

ワールド

インド総選挙、首都などで6回目投票 猛暑で投票率低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 8

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story