最新記事
南シナ海

中国海警局がフィリピン船に放水銃発射や衝突攻撃、南シナ海でエスカレートする妨害行為

Videos Show China's Water Cannon Attacks on US Ally

2024年3月6日(水)15時49分
マイカ・マッカートニー

フィリピン政府は、同国の沿岸警備隊の巡視船は「外面の構造に損害」を受けたと主張し、前述の補給船は、放水銃による攻撃を受けたのち、他船の護衛のもとで港に帰還したと述べた。

フィリピン政府の国家安全保障会議は、被害を受けた補給船の乗組員のうち少なくとも4名が、放水銃による攻撃で負傷したと述べている。

スタンフォード大学の傘下にあるシーライト・プロジェクトの責任者を務めるレイ・パウエルは5日朝、ソーシャルメディア上に、中国の政府機関である中国海警局に加えて、中国の「海上民兵」も、セカンド・トーマス礁付近での存在が確認されていると投稿した。

「1平方インチも譲らない」

パウエルは、船舶の位置情報データに基づく画像を投稿し、こうした海上民兵の船が、フィリピンの沿岸警備隊の船に「群がっている」様子を示した。

5日に起きた衝突は、2月に行われた前回のセカンド・トーマス礁への補給とは著しい対照を成している。このときは、中国側からの妨害を受けることはなかった。

フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は4日、オーストラリアのメルボルンで開催された、ローウィー研究所が主催するイベントの席上で、「我々はルールに基づく国際秩序を維持し、守り、支持する国際的な取り組みの最前線に立っている。これは、第二次大戦後のアジア諸国に経済的な奇跡をもたらす礎となったものであり、オーストラリアなどの国々が繁栄を続けるよりどころでもある」と述べた。

メルボルンでは現在、フィリピンを含む東南アジア10カ国が加盟するASEANとの、特別首脳会議が開催されている。

マルコスは、2月29日に開催されたオーストラリア議会での演説において、強大な隣国である中国との対立について間接的な形ながら言及し、フィリピンの領土を「1平方インチ」たりとも他国に譲るつもりはないと言明した。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の武器供給停止は誤ったメッセージ、駐米イスラエル

ビジネス

カナダ金融システム、金利上昇対応と資産価格調整がリ

ワールド

イスラエル首相、強硬姿勢崩さず 休戦交渉不調に終わ

ビジネス

Tモバイルとベライゾン、USセルラーの一部事業買収
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 3

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 4

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 5

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    自民党の裏金問題に踏み込めないのも納得...日本が「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中