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収入格差

生涯賃金から見える日本の学歴格差、男女格差、地域格差

2024年2月28日(水)14時20分
舞田敏彦(教育社会学者)

予想されることだが、地域による差もある。<表1>と同じやり方で、47都道府県別に正社員男女の生涯賃金を計算してみた。値が高い順に並べたランキングにし、上位10位と下位10位を取り出すと<表2>のようになる。

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男性を見ると、東京の2億4136万円から沖縄の1億4880万円までの開きがある。この両端では、同じ男性正社員でも生涯賃金に1億円近くもの差が出る。経済学者エンリコ・モレッティの「年収は住むところで決まる」というテーゼを彷彿させる。

分布の性差も明白で、男性では沖縄を除く全県で1億5000万円を超えるが、女性でこのラインを超えるのは東京と神奈川しかない。地方の女性正社員の40年間の稼ぎの総額は1億1000万円ほど。1年あたりの年収は280万円ほどで、自活するのも容易でない。

地方では物価が安いというメリットがあるものの、収入が少ないというデメリットのほうが大きいように思える。子どもの大学の学費などは、全国どこでも同じだ。これも地方から人口が流出する要因で、都会の大学で多額の奨学金を借りた若者は、稼げない地元にUターンするのをためらう。まずはこうした生活格差を埋めないことには、地方創生も進みそうにない。

<資料:総務省『就業構造基本調査』(2022年)

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