最新記事

大爆発

クリミアのロシア空軍基地で謎の大爆発、ウクライナ攻撃説も

Videos Show Explosions Rocking Russian Military Airfield in Crimea

2022年8月10日(水)17時25分
ジェラード・カオンガ

突如、轟音とともに大爆発が REUTERS

<ロシアとウクライナの戦争の発端となった因縁の地・クリミアのロシア軍基地で、轟音とともに大爆発が起きた。不穏な兆しか>

ロシアが2014年に併合したクリミア半島にあるロシア軍の飛行場で複数回の大爆発があり、その動画がソーシャルメディア上に出まわっている。

「これまでのところ確認できているのは、ノボフェドロフカ付近で複数回の爆発があったという事実だけだ。公式な報告を待ち、勝手に話をでっちあげないよう、すべての人に要請する」とクリミアのロシア占領当局のオレグ・クリュチコフ首長顧問は、メッセージアプリ「テレグラム」に書いた。

地元サキ地区行政府の副責任者を務めるビクトリア・カジロワも、爆発の事実を認めている。爆発の原因については、まだ明らかにされていない。

テレグラムチャンネルに投稿されたある動画には、爆発のあと、大きな煙柱が空に立ちのぼる様子がとらえられている。一連の動画は、8月9日の投稿以来、テレグラム上で10万回以上視聴されている。

ロシア国営のタス通信によれば、爆発後、救急車と医療用航空機が現場に派遣されたという。

また、ノボフェドロフカ村近くにあるサキ地区の軍用飛行場は、ロシア国防省の航空機の基地として使用されていると報じられている。

海軍機の離着陸訓練のための地上試験・訓練複合施設もある。

【動画】露軍基地の大爆発と逃げる海水浴客

ウクライナからの攻撃か

政治ストラテジストのジェイソン・ジェイ・スマートは、ウクライナがクリミアに向けてミサイルを発射したとする報道があることにも触れている。現時点では、ウクライナはこの報道を公式に認めていない。

「いくつかの報道によれば、ロシア占領下のクリミアに向けてウクライナがミサイル15発を発射した。爆発の現場は、ノボフェドロフカの飛行場だ」とスマートはツイートしている。

「爆発の動画と同時に、できるだけ速くクリミアを脱出しようとする観光客たちの動画が山のようにある......おそらく(脱出は)賢明だろう。遠くないうちに、ロシアへつながる橋はなくなるかもしれないから」

ロシアのインタファクス通信はその後、国防省の話として、航空機用の弾薬が爆発したと説明した。1人が死亡、子どもを含む5人が負傷したという。

この爆発は、あと数週間で戦争開始から6か月の節目を迎えるという時期に起きた。ウクライナとロシアの戦争がどのように終わりを迎えるのか、その道筋は依然として不透明だ。

(翻訳:ガリレオ)

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、総合的な不動産対策発表 地方政府が住宅購入

ワールド

上海市政府、データ海外移転で迅速化対象リスト作成 

ビジネス

中国平安保険、HSBC株の保有継続へ=関係筋

ワールド

北朝鮮が短距離ミサイルを発射、日本のEEZ内への飛
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中