最新記事

経済危機

インフレが世界をぶっこわす スリランカの後に続くのはどこか

Sri Lanka And Argentina Send A Stark Warning To The World Over Inflation

2022年7月13日(水)11時45分
パノス・ムルデュクータス

両国とも国際通貨基金(IMF)に融資を要請。これでアルゼンチンの債務総額は対GDP比で69.5%に減少したが、スリランカはまだ承認を待っている状態だ。

次に深刻な事態に直面するのはどの国だろうか。インフレ率が高く、債務の対GDP比率が高く、経常収支が悪化している国々だ。

一つはトルコだ。トルコはインフレ率が年率換算で80%近くに達しており、非金融部門の対外債務は対GDP比で120%近くにのぼる。経常赤字は対GDP比で5%近くを記録している。

インドも危険だ。インドのインフレ率は年率換算で7%とそこまで高くないが、債務総額は対GDP比で77%に達している。経常収支は慢性的に赤字で、石油価格が現在の水準にとどまれば、赤字がさらに深刻化する可能性もある(インドは世界3位の石油輸入国)。

フィリピンも不安要素を抱えている。フィリピンは、インフレ率はそこまで高くないものの債務の対GDP比は高く、経常赤字も増えている。ほかにも複数の新興経済国が、同じような状況だ。

先進国も安泰ではない

先進国が次に続く可能性もある。フランスやイギリスのような国では、既にインフレの凶暴な一面が見え始めている。フランスでは6月の選挙で、左右両極の政党が中道派を押しのけて大きく躍進した。イギリスでは生活コストの高騰を受けて、賃金上昇を求める公共交通機関の労働者たちが大規模なストを決行した。そしてドイツは、ロシアに天然ガスを止めると脅されている。いずれも、スリランカやアルゼンチンに続いてインフレが政治や社会に大きな混乱をもたらす可能性がある。

大統領公邸占拠の動画を見る

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」=

ビジネス

中国BYD、メキシコでハイブリッド・ピックアップを

ワールド

原油先物は上昇、カナダ山火事と米在庫減少予想で

ワールド

プーチン大統領の5期目初訪中、西側へ対抗を確認へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中