最新記事

韓国

反日と日本好きの二極化が進む韓国

2021年11月29日(月)16時29分
佐々木和義

韓国でオープンした日本テーマパーク「にじもりスタジオ」 twitter:@mori_studio

<コロナ禍が続く韓国で若者を中心に日本ブームが広がるなか、日本でも韓国旅行の再開を心待ちにする人向けのイベントも実施されている>

韓国の若者の間で人気となっている観光地がある。今年9月、ソウルから車で1時間半の距離にある京畿道東豆川(トンドチョン)にオープンした日本テーマパーク「にじもりスタジオ」だ。

11月1日、韓国政府がウィズコロナを宣言し、規制を段階的に緩和する方針を発表すると、日本料理店を訪れる人たちが増え始めた。また、韓国航空各社は日本上空を飛行する「無着陸観光飛行」を運行し、訪日観光の再開を待つ人たちが空から日本を楽しんでいる。

コロナ禍が続く韓国で若者を中心に日本ブームが広がるなか、日本でも韓国旅行の再開を心待ちにする人向けのイベントが実施された。

日本テーマパーク「にじもりスタジオ」

「にじもりスタジオ」はドラマの撮影場として作られた。2003年に放映されたドラマ『大長今(日本名;宮廷女官チャングムの誓い)』が人気を得ると歴史ドラマが相次いで作られた。日本で撮影が行われたドラマもあるが、出演者やスタッフの移動費など制作会社の負担が大きかった。そこで、演出家が主導して日本の江戸時代を再現した撮影場が在韓米軍訓練場の跡地に作られた。

撮影場は、Netflixの『犯人はお前だ!』やドラマ『ペントハウス』、『九尾狐伝』などのほか、歌手のミュージックビデオなどでも使われたが、ノージャパンと続くコロナ禍で使用される機会が少なくなったことから大幅な補修工事を行なって、新たに開業したのが日本テーマパーク「にじもりスタジオ」だ。
スタジオ内には日本料理店や旅館があり、着物や浴衣のレンタルも利用できる。

運営会社は反日感情を懸念して広告宣伝などを行わず、また、写真を見る限り日本の街並みとは異なる和韓折衷のテーマパークだが、日本を体験できるという評判がSNSで広まった。韓国政府がウイズコロナに伴って観光制限を緩和したことも相まって、多くの若者で賑わっている。


日本の上空を旋回する無着陸観光飛行

11月1日、日本政府は海外からの入国制限を緩和する方針を発表した。日本政府は入国者に14日間の待機を求めているが、要件を満たすビジネス目的の入国者の待機期間を3日間に短縮し、また、留学生や技能実習生などへの入国規制が段階的に緩和される見込みである。

日本政府の入国規制緩和と韓国政府のウイズ・コロナ宣言で、観光往来の再開を待ちきれない人たちが空の旅を楽しんでいる。

アシアナ航空は往来再開の目処が経っていない8月と9月に、金浦空港を出発し、日本の上空を飛行して済州島に到着する国内線を運行し、続いて仁川や釜山の空港を出発して対馬などの上空を飛行した後、出発地に戻る無着陸観光便を運行した。

格安航空会社LCCのエアソウルは、鳥取県と香川県の上空を飛行して出発地に戻る便を運行し、利用者には訪日観光再開後に利用できる香川県と鳥取県の無料宿泊券や特産品などが贈呈された。平均搭乗率が95%に達したという。

ティーウエイ航空も10月から金浦、仁川、大邱を出発して佐賀県などを上空から見たあと出発地に戻る「無着陸観光飛行」を開始した。10月30日には利用者に佐賀県が用意した記念品がプレゼントされ、2022年まで使用可能な割引クーポンや佐賀県の特産品を抽選でプレゼントするSNSのイベントも実施した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

当局調査の金融機関名、調査終了前の公表を英中銀総裁

ワールド

フィリピン、中国外交官の追放要求 「悪意ある情報」

ワールド

アングル:米のイスラエル武器支援停止、4月の首脳会

ビジネス

街角景気、4月DIは1年8カ月ぶり低水準 円安によ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 4

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 7

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中