最新記事

欧州

英仏、漁業権問題が膠着 ジョンソン=マクロン首脳会談でも溝埋まらず

2021年11月1日(月)09時50分
ジョンソン英首相(右)とマクロン仏大統領(左)

 ジョンソン英首相(右)とマクロン仏大統領(左)は31日、20カ国・地域(G20)首脳会議の合間に両国間の懸案である漁業権について協議した。従来から立場に変わりはないとする英国に対し、仏側は対立解消が英国の出方にかかっていると迫った。ローマで撮影(2021年 ロイター/Guglielmo Mangiapane)

ジョンソン英首相とマクロン仏大統領は31日、20カ国・地域(G20)首脳会議の合間に両国間の懸案である漁業権について協議した。従来から立場に変わりはないとする英国に対し、仏側は対立解消が英国の出方にかかっていると迫った。

英国の欧州連合(EU)離脱後、両国は英領海でのフランス漁船の操業許可を巡り対立を深めており、仏側は認められるべき操業権の半分しか付与されていないと主張。英国はEUとの合意に基づき許可を与えていると主張している。数日前には仏領海でホタテ漁をしていた英漁船が仏巡視船に拿捕され、対立がさらに激化した。

ジョンソン氏は、漁業権に関する英国の立場に変わりはないが、仏政府がEU宛ての書簡で「英国はEU離脱への制裁を受けるべきだ」と主張したことに「困惑している」と表明。英EU間の離脱協定や貿易・協力協定(TCA)に整合的ではないと訴えた。

マクロン氏は記者会見で、漁業権の問題で合意を望むと表明。対立激化は望んでおらず、報復措置を使う必要が生じないよう願っているとした。

英政府には既に提案を示しており、進展するかどうかは英国の出方にかかっていると強調した。

ジョンソン氏とマクロン氏の会談後、仏政府当局者は両首脳が対立緩和を目指すことで合意したと述べたが、ジョンソン氏の報道官はそのような内容ではなかったとした。

仏政府は、問題解決に向けて十分な進展が見られない場合、11月2日に発動する可能性のある制裁措置のリストも公表している。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替が国民生活に与える影響分析し適切に対応=鈴木財

ビジネス

インドネシア、追加利上げ不要 為替相場は安定=中銀

ビジネス

原油先物は上昇、米原油在庫減少やFRBの利下げ観測

ワールド

独首相、ウクライナ大統領と電話会談 平和サミット支
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 10

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中