最新記事

ワクチン

ワクチン未接種なら入院リスクは29倍 米CDC研究

2021年8月31日(火)16時20分
青葉やまと

REUTERS/Amir Cohen

<感染リスクにも5倍の開きが。米感染症対策トップは、ワクチン普及なら来春にも社会活動を再開できるとみる>

米疾病予防管理センター(CDC)は8月24日、新型コロナウイルス用ワクチン未接種の入院リスクが、接種を完了した人々に比べて29.2倍に達するとの調査結果を発表した。重症化の予防という面において、ワクチンの効果がはっきりと示された。

調査は今年5月1日から7月25日を対象として、米カリフォルニア州ロサンゼルス郡の住民の感染データをCDCが分析したものだ。この期間は同郡でデルタ株が急拡大した時期であり、データには従来株とデルタ株の双方が混在している。

CDCは報告書のなかで、「こうした感染率および入院率のデータは、デルタ株の伝染が拡大していた時期において、新型コロナウイルスへの感染と新型コロナウイルス感染症の重症化に対し、認可されたワクチンが保護効果を有していたことを示すものである」と述べている。

研究に協力した識者のひとりに、ロサンゼルス郡公衆衛生局で感染症対策を指揮するシャロン・バルター博士がいる。バルター博士は米NBCニュースに対し、入院率の低さは「ワクチン接種を受ける大きな理由です」と語り、接種による重症化予防効果を改めて強調した。

感染リスクは約5分の1

一方、入院ではなく感染リスクの低減効果という観点でも、接種完了者のリスクは未接種者の4.9分の1に抑えられていることが判明した。入院リスクほどの差が出ているわけではないが、それでもおよそ5倍の開きがあることになる。

依然として感染リスクはゼロではないものの、ワクチンの有効率が100%ではないことは以前から指摘されてきた。接種後もマスクを着用し公共の場では他者と距離を保つなど、感染対策の継続が求められることになる。

バルター博士はNBCニュースの取材に対し、他者を感染させることを防ぐという意味においても、引き続きマスクを着用するよう勧めている。ワクチン接種者は感染後も軽症になる傾向があるため、自覚なくウイルスを広めてしまわないよう注意が必要だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

グローバル化の減速、将来的にインフレを刺激=ECB

ビジネス

英中銀が金利据え置き、総裁「正しい方向」 6月利下

ビジネス

FRB「市場との対話」、専門家は高評価 国民の信頼

ワールド

ロシア戦術核兵器の演習計画、プーチン氏「異例ではな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 3

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 4

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 5

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「高齢者は粗食にしたほうがよい」は大間違い、肉を…

  • 10

    総選挙大勝、それでも韓国進歩派に走る深い断層線

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 9

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中