最新記事

事故

スエズ運河の座礁船、離礁作業難航 エジプト大統領は荷降ろし準備指示

2021年3月29日(月)09時27分

エジプトのスエズ運河で大型コンテナ船「エバーギブン」が座礁し航路が遮断されている問題で、サルベージ担当者らは船の離礁に向けた掘削・浚渫(しゅんせつ)作業を加速させた。ただ、関係筋によると、船首の下で岩が見つかり、作業が難航しているという。スエズ運河庁による提供写真(2021年 ロイター/Suez Canal Authority)

エジプトのスエズ運河で大型コンテナ船「エバーギブン」が座礁し航路が遮断されている問題で、サルベージ担当者らは船の離礁に向けた掘削・浚渫(しゅんせつ)作業を加速させた。ただ、関係筋によると、船首の下で岩が見つかり、作業が難航しているという。

こうした中、スエズ運河庁(SCA)のラビア長官は、座礁船に積まれている1万8300個のコンテナの一部荷降ろしが必要になった場合に備えて準備するようエジプトのシシ大統領から指示があったと、地元メディアに語った。

SCAは声明で、掘削機で運河の岸を一部取り除いているほか、船首付近で水深18メートルまで浚渫(しゅんせつ)が進んでいると説明した。タグボートで船を動かす作業への言及はなかったが、SCA当局者や関係筋はこれまでに、28、29日に満潮で水位が上がるのを利用して離礁させたい考えを示している。

SCAによると、これまでに少なくとも2万7000立方メートルの土砂が船の周りから除去された。ただ、同庁関係者がロイターに明らかにしたところによれば、船首付近で岩の塊が見つかり、作業が難航しているという。

ラビア長官は、コンテナ船やバルク船、石油タンカー、LNG(液化天然ガス)船、LPG(液化石油ガス)船を含め少なくとも369隻が足止めされていると明らかにした。

また、航路遮断で影響を受けた船の荷主に割引を提供する可能性があるとした上で、運河側に事故の責任がないことが調査によって明らかになるだろうと述べた。

航路遮断が長引けば、アフリカの喜望峰を迂回するルートに切り替える海運会社が出てくる可能性があるが、航海期間が2週間程度延びるほか、燃料コストもかさむ。

ロイターが確認したAPモラー・マースクのメモによると、同社はこれまでに15隻を喜望峰ルートに迂回させた。スエズ運河の通航待ちと同程度の時間との試算が判明したためという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア軍の上陸艇を撃破...夜間攻撃の一部始終

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 6

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中