最新記事

仮想通貨

ビットコイン、大手企業の買いで反発。インフレヘッジ資産の地位確立か

Bitcoin Bounces Back as Investors Seek Hedge Against Inflation

2021年2月25日(木)15時38分
スコット・リーブス

次第にメインストリーム資産に近づきつつある?(写真は、スイスの銀行内に設置されたビットコインの自動取引機) Arnd Wiegmann-REUTERS

<反発のきっかけは著名投資家の前向き発言。「ビットコインはインフレに対する最高のヘッジ資産」>

週明けに急落した仮想通貨ビットコインの価格は、2月24日の取引で反発した。複数の大手企業が長期保有目的で購入を続けたためだ。

仮想通貨情報サイトのコインデスクによれば、ビットコイン価格は24日午前の取引でいったん5万1369ドルに上昇したものの、再び下落。その後4万9884.07ドルまで値を戻し、過去24時間で5.27%の上昇を記録した。

ビットコインは21日に史上最高値の5万8356ドルに達した後、23日には4万5501ドルまで落ち込んでいた。

ビットコイン価格は過去1年間で約400%上昇しており、24日の価格は前年同日比で約70%高い水準を記録している。

ビットコイン価格の反発を後押ししたのは、ニューヨークに本社を置く資産運用会社アーク・インベストメント・マネジメントのキャシー・ウッド創業者兼CEOの発言だ。ウッドはビットコインについて、今週に入って価格が乱高下しているものの「とても前向きに考えている」と述べた。

ウッドはブルームバーグラジオのインタビューで、「変動のない市場などない。全ての人が、そのことを認識しておくべきだ」と述べ、こう続けた。「ビットコインは世界中で、インフレによって富が奪われることへの対抗策として選択されている。ビットコインはインフレに対する最高のヘッジ資産で、その点では金よりも優れていると思う」

大手各社が次々購入に動く

アークはテスラやスクエアをはじめとする大手テック企業への投資で大成功を収め、旗艦ファンドの2020年の運用成績は前年から約150%アップした。

24日は、オルトコインと総称されることが多いビットコイン以外の仮想通貨の価格も上昇。イーサリアムは5.77%上昇して1656.06ドル、XRPは2.19%上昇して0.47ドルを記録した。

ゴールドマン・サックスのアナリストは、ビットコインは価格の変動が激しいため価値の保管場所としては適さないと考えている。だがそれとは考えが異なる大企業もあるようで、ビットコインを大量に購入している。また資産運用大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロンは2月11日、大手機関投資家を対象にビットコインの資産管理サービスを開始すると発表した。

バージニア州タイソンズコーナーに本社を置くソフトウェア会社のマイクロストラテジーは24日、約10億ドルを投じてビットコイン(BTC)を追加購入したと発表。1BTCあたり平均5万2765ドル(手数料込み)で、1万9452BTCを購入した。これで同社は9万531BTCを保有することになる。

マイクロストラテジーのマイケル・セイラーCEOは声明の中で、「当社は引き続き、ビジネスデータの管理・分析ソフト事業の成長とビットコインの取得・保有という2つの企業戦略に重点を置いている」と説明。マイクロストラテジーはビットコインを全面的に支持していると語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金融デジタル化、新たなリスクの源に バーゼル委員会

ワールド

中ロ首脳会談、対米で結束 包括的戦略パートナー深化

ワールド

漁師に支援物資供給、フィリピン民間船団 南シナ海の

ビジネス

米、両面型太陽光パネル輸入関税免除を終了 国内産業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 8

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 9

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中