最新記事

天体

オウムアムアは宇宙人テクノロジーの断片?  ハーバード大教授が主張

2021年1月8日(金)15時45分
松丸さとみ

2019年7月には、「自然物」であると結論付けられていたが...... dottedhippo-iStock

<太陽系の外からやってきた謎の恒星間天体「オウムアムア」は、いったん「自然物」であると結論付けられたが、ハーバード大学の教授が、改めてオウムアムアは「宇宙人のテクノロジー」だと主張している......>

地球外生命体が「意図的に送り込んできた」

2017年に、「オウムアムア」という謎の天体が話題になったのを覚えているだろうか? 本サイトでも複数回取り上げている。

オウムアムアは太陽系の外からやってきた恒星間天体で、2017年に発見された当初は宇宙人の探査機ではないかとの声もあったが、2019年7月には、「自然物」であると結論付けられた。

ところが最初に話題になってから3年以上たった今、米ハーバード大学の教授が、オウムアムアは「宇宙人のテクノロジー」であり、地球以外に知的生命体がいることを示すものだと改めて主張している。

この説を唱えているのは、アビ・ローブ教授だ。これまでも、学術誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズに、オウムアムアについて「宇宙の文明が地球近辺に意図的に送り込んできた探査機」かもしれないとする論文を発表するなど、宇宙人が作ったものであるとの可能性を踏まえた研究を続けている。

ローブ教授はこのほど、これまでの持論を書籍『Extraterrestrial: The First Sign of Intelligent Life Beyond Earth』(地球外生命体:地球外の知的生命体が示す初めてのしるし、未邦訳)にまとめ、刊行することとなった。

太陽の光を推進力にするシステムを搭載?

米航空宇宙局(NASA)によるとオウムアムアは、長さ400メートル程度、幅はその10分の1程度の細長い葉巻型をしている。高密度の岩でできていると考えられており、金属を含む可能性もある。日本では織姫星として知られる、地球から約26光年離れたベガ(こと座のアルファ星)の方向から、秒速26.4キロで移動してきたと考えられている。

当初は小惑星として分類されたが、現在ではその動きからむしろ彗星だと見られているとNASAは説明している。

しかしローブ教授は、小惑星や彗星にしては動きが速すぎ、軌道も奇妙だと考えている。さらに、オウムアムアが通った後には、ガスや破片が一切残っていないと指摘する。可能性として唯一考えられるのは、オウムアムアは実のところ、地球外の文明によって作られた、非常に進化したテクノロジーの一部だというのだ。

オウムアムアが高度なテクノロジーだとしても人間がそれを認識できない理由として、ローブ教授は米ニューヨーク・ポストに対し、「原始人が携帯電話を見たら、どうなるだろうか? これまでの人生で石ころしか見たことがなかったら、ピカピカした石ころだと思うのではないだろうか」と述べている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:EU市民の生活水準低下、議会選で極右伸長

ワールド

アングル:ミャンマー内戦、国軍と少数民族武装勢力が

ビジネス

「クオンツの帝王」ジェームズ・シモンズ氏が死去、8

ワールド

イスラエル、米製兵器「国際法に反する状況で使用」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカ…

  • 6

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 7

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 10

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中