最新記事

スウェーデン

コロナ「独自路線」のスウェーデン首都、ICU占有率99%

Sweden's Largest City, Has Only Seven ICU Beds Free Amid COVID Surge

2020年12月10日(木)17時10分
レベッカ・スピアコール

感染者増加を受けて1日20~30世帯に新型コロナ検査キットを届けているタクシー運転手 TT News Agency/Jessica Gow via REUTERS

<感染者の急増で、ストックホルムではICUの空きベッドがあと5〜7床しかない>

スウェーデンの首都ストックホルムでは、新型コロナウイルス感染症のための集中治療室(ICU)の占有率が99%に達した。同国のアフトンブラデット紙によれば、12月9日には、ストックホルム地方にある計160のICU病床のうち、空いているのはわずか5~7床になった。

報道によれば、ストックホルムの医療担当責任者を務めるビョルン・エリクソンは9日の記者会見で、状況は「きわめて深刻」だと述べ、ストックホルムはほかの都市圏よりも「かなり大きな」打撃を受けていると説明した。

エリクソンは次のように語った。「我々は全ての人が必要なケアを受けられるように、できる限りのことをしてきた。今後も社会の全ての人が一丸となって最善を尽くし、ウイルスとパンデミックに立ち向かっていく必要がある」

スウェーデンは新型コロナ対策の上で、ロックダウンを行わず自主的なソーシャルディスタンスの確保で集団免疫の獲得を目指す独自路線をとってきた。しかし9月に入ってから感染者が増え始めた。

市民同士の接触が多過ぎる

エリクソンは記者会見で、感染者が急増しているのは、市民同士の接触が多すぎることが原因だと説明した。「これはまさに、我々が恐れていた展開だ。ストックホルム市民が特定の場所に密集したり、外出先で互いに接触しすぎたりした結果だ」と彼は述べ、「医療体制がひっ迫しており、病床に余裕がなくなっている」と警告した。

カロリンスカ大学病院(ストックホルム)のICU担当マネージャーであるビョルン・パーソンは、ダーゲンス・ニュヘテル紙に対して、ICUが満杯になれば、患者に別の受け入れ先を探さなければならなくなると語った。

パーソンはまた、病床の占有率が高まっていることで、通常ならICUで治療を受けられるはずの患者がICUに入れなくなってしまうと語った。スタッフ不足も深刻で、南部ブレーキンゲ県からICUの追加スタッフを派遣してもらった。「できる限りの手は尽くしたが、それでも追加シフトや残業を頼まなければならない状態だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 5

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中