最新記事

ワクチン

ファイザーのワクチンで激しい副反応を経験した看護学者が警告

Nurse Asks Doctors to Warn About Possible COVID-Like Symptoms From Vaccine

2020年12月9日(水)17時35分
アレクサンドラ・ガレット

12月8日、イギリスで米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった Victoria Jones/REUTERS

<ファイザーの臨床試験に参加した看護学者は、2度目の接種の後に事前説明にはなかった予想外の激しい症状に襲われた>

カリフォルニア在住の看護学者が、医師たちに対して、米ファイザーが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種で生じる可能性のある副反応を接種前に明確に説明するよう求めている。この研究者自身が、ファイザーの第3相臨床試験を受けた際に複数の激しい症状を体験したためだ。

カリフォルニア大学看護学校のクリステン・チョイ助教。米医師会雑誌(JAMA)の内科部門専門誌に12月7日付けで掲載されたレポートによると、チョイはインスタグラムで広告を見たのがきっかけで8月にこのワクチンの臨床試験に参加した。

「(新型コロナウイルスワクチンの)臨床試験にボランティアとして参加することは、名誉ある行動のように思えた。同時に、50%の確率でいち早くワクチン接種を受けられることに、准看護師として大きな関心を覚えた」。チョイは、「看護学研究者によるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチン臨床試験での体験」と題されたこのレポートでそう書いている。

もともと医学的な知識があり、臨床試験を担当する看護師からも説明を受けたものの、2回にわたって接種されたワクチンに対する自分の身体の反応は予想外のものだったとチョイは語る。

「私はそれまでに、開発過程やワクチンに関して広範な情報を得ていたが、個人的なレベルでは、反応原性の反応を予期すべきだとは理解していなかった」と、チョイは書く。「発熱した時には恐怖を覚えた」

40度近い発熱が

臨床試験で2度目のワクチン接種を受けた後、チョイは頭痛、寒気、吐き気、筋肉痛などの症状に加えて、約40度近くの高熱が出たという。

このような状況であったにもかかわらず、臨床試験を担当していた看護師はチョイに対し、そうした症状は通常の範囲内だと述べ、「2回目の接種の後に反応が出る人は多い」と説明したという。

ファイザーの臨床試験は無作為のダブルブラインド方式で行われていたため、チョイは自身が接種を受けたのがワクチンなのかプラセボ(偽薬)なのかは知らされていない。それでもチョイは、自らの身体の免疫反応から判断して、自分が接種を受けたのはワクチンの方で、高熱もその副作用だという「強い疑念」を持っているという。

ファイザーの第1相試験では、18〜55歳の成人の被験者のうち、全体の75%がだるさ、67%が頭痛、33%が寒気、25%が筋肉痛を訴え、発熱した人も17%いた。

「このワクチンが承認されたなら、ワクチンを接種された人のうち大半が、私が体験したように、1つ、あるいはそれ以上の副反応を体験する可能性がある」とチョイは書いている。「幸い、私のようにあらゆる反応が同時に起きたというケースは、まれのようだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界最大級のCO2回収・貯留施設稼働、アイスランド

ビジネス

中国杭州市、住宅規制を撤廃 ハイテク企業の人材増で

ビジネス

米GM、「シボレー・マリブ」生産終了へ EVに注力

ワールド

中国輸出、4月は予想通り前年比+1.5% 輸入は8
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 5

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 10

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中