最新記事

韓国社会

韓国、新型コロナウイルス封じ込めに苦慮 ソウルでコールセンターがクラスターに

2020年3月12日(木)16時01分

韓国疾病予防管理局(KCDC)の発表によると、国内の新型コロナウイルス感染者は114人増え、累計7869人となった。写真は地下鉄の駅を消毒する様子。ソウルで11日撮影(2020年 ロイター/Heo Ran)

韓国疾病予防管理局(KCDC)の12日の発表によると、国内の新型コロナウイルス感染者は114人増え、累計7869人となった。新たな感染者数は急増した前日から再び鈍化傾向を示した。死者は6人増え、66人となった。

新たな感染者は2月29日に確認された過去最多の909人を大幅に下回り、当局は増加ペースが減速しているようだとの認識を示した。

ただ、ウイルス封じ込めには今後数日の対応が重要になるとみられ、当局は首都ソウルのコールセンターなどで発生した、より小規模なクラスター(感染集団)に焦点を当ててウイルス封じ込めに取り組んでいる。

公衆衛生政策担当トップの尹泰皓(ユン・テホ)氏は「まだ散発的に感染が確認されており、警戒を緩めることはできない」と語った。

12日に報告された新たな感染者のうち、19人はソウルで確認された。ソウルではコールセンターの従業員少なくとも102人が新型ウイルスの陽性反応を示し、市内での感染拡大への懸念が強まっている。

ソウル市長は、コールセンターの従業員800人近くとコールセンターが入る建物の入居者200人に検査を行ったことを明らかにした。

「コールセンターからの感染拡大を食い止めることが新型ウイルスのさらなる伝染を防ぐ上で重要だ」とし、「同地域で、必要なあらゆる人的・物質的支援に注力する」と語った。

政府はまた、欧州の特定の国からの入国者に対し、検温やその他の監視措置を強化する方針という。

新たな感染者の73人は集団感染が起きた南東部の大邱(テグ)市で確認された。

尹氏は全国民に集会を避け、他の人と社会的な距離を維持するよう呼び掛けた。

また政府は、欧州の一部の国からの渡航者への検温とその他の監視措置を拡大する方針を示した。

米国防総省は12日、軍人とその家族による一部の国への渡航を今後60日間制限することを発表した。韓国はこの対象となっている。

韓国には約2万8500人の兵士が駐留。このほかに民間職員や家族も滞在している。

在韓米軍では少なくとも8人が新型ウイルスに感染した。

*内容を追加します。

[ソウル ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ
・豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスーパーは個数制限で買い占め防止
・スペイン、首都マドリードで新型コロナウイルス患者急増 保健当局「医療対応に限界」


20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症 vs 人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前年比3.4%上昇に鈍化 利下げ期

ビジネス

米小売売上高4月は前月比横ばい、ガソリン高騰で他支

ワールド

スロバキア首相銃撃され「生命の危機」、犯人拘束 動

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中