最新記事

英王室

ヘンリー英王子夫妻、王室離脱後の「人生設計」は?

2020年1月23日(木)09時50分

英王室のヘンリー王子(写真右)とメーガン妃(同左)が王族の敬称を失い、王室から事実上「離脱」する。王室外での新たなキャリアを目指すのに伴い、公的資金は受け取らず、ウィンザー城の自宅を改装するために使われた税金も返納する方針だ。2019年10月、ロンドンで撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)

英王室のヘンリー王子とメーガン妃が王族の敬称を失い、王室から事実上「離脱」する。王室外での新たなキャリアを目指すのに伴い、公的資金は受け取らず、ウィンザー城の自宅を改装するために使われた税金も返納する方針だ。

王室からの離脱には、夫妻が2週間前に王室の公務から退いて毎年一定期間を北米で過ごすと表明したことで起きた騒動を収拾する意向があったとみられる。

夫妻は今春をめどに王室から離れ、1年後に王室の主要メンバーによる点検が行われる。

王子称号はどうなる

ヘンリー氏は今後も王子にとどまり、王位継承位第6位も維持される。だが夫妻はもはや英国の公務には従事せず、「殿下、妃殿下」の称号は使わず、個人としての収入を求めることが認められる。

ヘンリー王子は軍隊の任務や英国連邦の青年親善大使からも退く。だが夫妻は、民間の慈善活動ネットワークとの結び付きは維持する。

誰が支払うか

夫妻はもはや英政府の王室向けファンドからの助成金を受け取らない。この助成金は王族の生活費や旅費に充当される政府支出。

夫妻はかつて、助成金は公務に必要な経費をまかなう収入の5%に相当すると話していた。残る収入は、チャールズ皇太子の個人資産から生み出されていた。

ヘンリー王子と兄のウィリアム王子の父親であるチャールズ皇太子は、今後も個人的に金銭面の支援を続けるだろうが、詳しくは説明されていない。

夫妻はまた、昨年に入居したウィンザー城の敷地内にあるフロッグモア・コテージを改装するために使われた240万ポンド(約3億4000万円)の政府資金を返納する。

王室筋の話では、夫妻は今後、このコテージの家賃を支払う。

どのように金を稼ぐか

夫妻は、自分たちの生活に必要な資金を今後どのように確保するかには言及していない。エリザベス女王の孫の中には、働いている人もいる。ビジネスや芸術に携わるベアトリス王女やユージニー王女(いずれもアンドルー王子の娘)らだ。

ヘンリー王子は昨年、米テレビ番組の司会者兼プロデューサーであるオプラ・ウィンフィリー氏と組んでアップルの動画配信サービス向けにメンタルヘルスに関するドキュメンタリーを制作すると表明していた。

また、ロンドンで昨年に開かれたウォルト・ディズニーの映画「ライオン・キング」のプレミア上映会に夫妻が出席したことを示す動画が先週末に公表された。動画では、ヘンリー王子は映画監督に元女優であるメーガン妃が吹き替えの仕事をできると話しかけ、メーガン妃は「それこそ私たちが実際にここにいる理由です。つまり売り込みです」と語った。

6カ月前に夫妻は英知的財産庁に「サセックス・ロイヤル」と「サセックス・ロイヤル財団」の商標登録を申請している。これらの商標が書籍や文房具、パジャマや靴下などの衣服、慈善活動などに使われることを想定されていた。

ただ、夫妻がセサックス・ロイヤルのブランド名と、HとMの文字の上に王冠を飾った意匠を維持するかどうかは明らかではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中