最新記事

児童虐待

子犬を茹でて子供を虐待する「鬼母」と地獄の家

New Mexico Mother Accused of Boiling Puppies in Front of Children

2019年6月27日(木)13時30分
カラム・ペイトン

銃で撃たれたり車でひかれることもあった、と息子の1人は言う fiorigianluigi/iStock.

<母は子犬数匹を大鍋に入れて茹でて見せた、猫に毒を盛ることもあった――母親の虐待行為の数々を15人いる子どもたちが証言>

米ニューメキシコ州で6月24日、子どもと動物に対する虐待行為を繰り返したとして、15人の子どもの両親が逮捕された。AP通信によれば、母親のマーサ・クラウチ(53)は児童虐待と、子犬を生きたまま茹でたり子猫に毒を盛ったりするなどの動物虐待の容疑で訴追され、夫のティモシー・クラウチは司法妨害の容疑で訴追された。

警察によれば、逮捕容疑はミズーリ州、アラスカ州、カンザス州とモンタナ州で行われた虐待行為で、すべてのケースで15人の子どもの一部が被害に遭っている。

10代の娘は警察に、これまでに受けた精神的・身体的虐待の中でも最悪だったのは、マーサ・クラウチ容疑者が「子犬を何匹か大きな鍋に入れて茹で、子どもたち全員にそれを見せた」こと。しかも母は同じ日に、娘のペットの犬を撃ち殺したという。

<参考記事>子供13人を監禁虐待した親の家は、排泄物が壁にこびりついていた
<参考記事>飢餓状態の子供11人が保護された謎の施設、学校を襲う銃乱射を訓練か

同容疑者は、子猫に毒を盛ったり、学校に行けない理由を尋ねた罰にゴムべらで叩いたりもしたという。

別の娘は警察の事情聴取に対して、14歳で妊娠した時のことを話した。母親はその罰として、流産するまで彼女を殴ったという。

onibaba.png
         「鬼母」マーサ・クラウチ容疑者

警察に疑われるたびに引っ越し

虐待が発覚したきっかけは、サンフアン郡の保安官事務所が、2人の成人した息子の一人が暴行容疑で逮捕されたこと。この息子は過去にも誘拐や暴行の疑いがかけられていたが、捜査の過程でそれは濡れ衣だったことがわかった。彼の10代の妹が、兄は自分を虐待から救おうとしたのであり、誘拐したのではないと証言したのだ。

現在は複数の州に分かれて暮らしている成人した子どもたちの証言からは、クラウチ一家が長年にわたって警察から逃げ続けていたことも明らかになった。警察の追及の手が迫るたびに、引っ越しを繰り返してきたという。

ひとりの息子は、両親に殴られたり銃で撃たれたり、刃物で刺されたり車でひかれたりしたと語った。「母親に散弾銃で撃たれた時のBB弾が、まだ腕の中に残っている」

ニューメキシコ州の児童福祉局が、教育ネグレクトの疑いについて調べるために、自宅を訪ねてきたこともあったという。この時、母親のマーサ・クラウチはさらなる追及を逃れるために、一番下の3人の子どもを車に乗せてサンフアン川のナバホダムに連れていき、隠した疑いがある。

ティモシー・クラウチとマーサ・クラウチの両容疑者は、6月26日に裁判所に出廷する。

(翻訳:森美歩)

20190702issue_cover200.jpg
※7月2日号(6月25日発売)は「残念なリベラルの処方箋」特集。日本でもアメリカでも「リベラル」はなぜ存在感を失うのか? 政権担当能力を示しきれない野党が復活する方法は? リベラル衰退の元凶に迫る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国4月鉱工業生産、予想以上に加速 小売売上高は減

ワールド

訂正-ポーランドのトゥスク首相脅迫か、Xに投稿 当

ビジネス

午前の日経平均は反落、前日の反動や米株安で

ビジネス

中国新築住宅価格、4月は前月比-0.6% 9年超ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 7

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 8

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中